2020年9月調査 日銀短観 予測

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

大企業・製造業・業況判断DIは▲20程度と前回比14ポイント程度改善を予測

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響による景況感の大幅悪化から持ち直し

 

大企業・非製造業・業況判断DIは▲6程度と前回比11ポイント程度改善を予測

 

 

●9月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが▲20程度と6月調査の▲34から14ポイント程度改善するとみた。新型コロナウイルスの感染拡大予防のための緊急事態宣言による経済活動縮小の影響が大きく出ていた6月調査より景況感が改善しそうだ。

 

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは▲6程度と、こちらは9年ぶりのマイナスになった6月調査の▲17から11ポイント程度改善するとみた。

 

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(9月調査)やロイター短観(9月調査)などを参考にした。

 

●9月11日に発表されたQUICK短観9月調査の調査期間は8月28日から9月8日である。製造業DIは6月調査の▲38から12ポイント改善し▲26となった。また、非製造業DIは6月調査の▲18から16ポイント改善の▲2となった。

 

 

 

●9月14日に発表されたロイター短観9月調査の調査期間は8月31日から9月9日である。9月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の▲46から17ポイント改善し▲29になった。一方、200社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の▲55から25ポイント改善し▲30となった。

 

●また、ロイター短観9月調査400社ベースの非製造業DIは6月調査の▲32から14ポイント改善し▲18になった。一方、200社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の▲33から16ポイント改善し▲17となった。

 

 

●なお、9月調査の大企業・製造業の業況判断DIが予測通り▲20程度なら、6月調査の「先行き見通し」▲27を7ポイント程度上回ることになる。事前の予想を上回り、思ったよりは景況感が上振れたことになる。また大企業・非製造業が予測通り▲6程度なら、6月調査の「先行き見通し」▲14を8ポイント程度上回る。非製造業でも前回調査時の先行き予想を上回ったということになろう。

 

●QUICK短観9月調査の製造業の12月までの「先行き見通し」は▲22で6月実績の▲26より4ポイント改善の予想、一方、非製造業の12月までの「先行き見通し」は▲4で9月実績の▲2から2ポイントの悪化予想である。

 

●一方、ロイター短観9月調査の12月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで▲19と9月実績の▲29から10ポイント改善の見込み、製造業・200社ベースで▲17と9月実績の▲30から13ポイント改善の見込み、非製造業・400社ベースの12月までの「先行き見通し」は▲17と、9月実績の▲18から1ポイント改善の見込み、非製造業・200社ベースの12月までの「先行き見通し」は▲8と、こちらは9月実績の▲17から9ポイント改善の予想である。

 

●日銀短観の大企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業で9月実績比5ポイント改善の▲15程度、非製造業は9月実績比1ポイントの改善の▲5程度と予測した。

 

●9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲38程度と6月調査の▲45から7ポイント程度改善すると予測した。非製造業は6月調査の▲26から4ポイント程度改善し▲22程度になるとみた。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。

 

●参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が5月調査15.8を底として、6月調査20.6、7月調査23.5、8月調査25.3と景気判断分岐点の50をかなり下回る水準ではあるものの緩やかな改善が続いている。一方、非製造業は4月調査11.4を底として、5月調査15.3、6月調査20.9、7月調査25.6、8月調査28.3と、こちらも景気判断分岐点の50をかなり下回る水準ではあるものの緩やかな改善が続いている。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

 

●日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが▲38程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」の▲47より9ポイント良かったことになる。事前の見通しに比べ改善したことになろう。また中小企業・非製造業が▲22程度と予測通りなら、「先行き見通し」の6月調査の▲33を11ポイント上回ったことになる。こちらも景況感が事前に思ったより改善したことになろう。

 

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、製造業で9月実績比2ポイント改善の▲36程度、非製造業は9月実績比4ポイント悪化の▲26程度と予測した。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみるというクセも考慮した。

 

●2020年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+1.7%程度と予測した。6月調査の同+3.3%から増加率が鈍化すると予測した。他の統計の設備投資計画や、過去の修正パターンなどを参考にした。

 

●2020年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲13.2%程度と、6月調査の同▲16.5%からやや上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があるが、今年度も9月調査は6月調査よりいつもの年よりは小幅だが改善するとみた。

 

<9月調査日銀短観・予測値>

 

1)大企業

 

9月製造業DI                                                              ▲20

9月非製造業DI                                                           ▲6

12月製造業DI                                                            ▲15

12月非製造業DI                                                         ▲5

2020年度設備投資計画(全産業)前年度比                 +1.7%

 

2)中小企業

 

9月製造業DI                                                              ▲38

9月非製造業DI                                                           ▲22

12月製造業DI                                                            ▲36

12月非製造業DI                                                         ▲26

2020年度設備投資計画(全産業)前年度比                   ▲13.2%

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年9月調査 日銀短観 予測』を参照)。

 

(2020年9月14日)

 

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト
 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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