2020年7月分「機械受注」データの分析

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

7月分機械受注(除船電民需)は前月比+6.3%と2ヵ月ぶりの増加に

 

7月分機械受注(除船電民需)は大型案件0件(前月も0件)

 

製造業は前月比+5.0%、非製造業(除船電民需)は前月比+3.4%

 

7~9月期見通しの前期比▲1.9%達成に、8・9月前月比▲3.2%が必要

 

 

 

●7月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+6.3%と2ヵ月ぶりの増加になった。3ヵ月移動平均は前月比▲0.1%で4ヵ月連続の減少になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲16.2%で8ヵ月連続の減少になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件をみると、前回6月分の大型案件は0件であった。今回7月分も0件であった。大型案件がなくても前月比は、しっかりした伸び率になった。

 

●7月分製造業の前月比は+5.0%と2ヵ月連続の増加だった。7月分の製造業では17業種中、11業種で増加し、減少は6業種だった。

 

●7月分非製造業(除船電民需)の前月比は+3.4%と2ヵ月ぶりの増加になった。電力業は前月比+68.3%の大幅増加になった。そのため7月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比+11.1%と2ケタの増加になった。3ヵ月ぶりの増加になる。非製造業では、通信業が前月比▲15.2%と3ヵ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回6月分は1件。その他官公需の、航空機であった。今回7月分は0件であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は7月分前月比+2.3%と2ヵ月連続の増加となった。前年同月比は▲15.0%と15ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は7月分前月比+13.8%で5ヵ月ぶりの増加になった。前年同月比は▲25.3%と6ヵ月連続の減少になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年9月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断に下方修正された。その後10月分ではさらに下方修正され、18年12月分~19年3月分以来の「機械受注は、足踏みがみられる」という判断になった。11月分・12月分・20年1月分、2月分、3月分と、「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく出た4月分では「機械受注は、足元は弱含んでいる」という判断に下方修正され、5月分では判断据え置きになった。前回6月分では「機械受注は、減少している」という判断に下方修正された。今回7月分では判断据え置きになった。機械受注(除船電民需)3ヵ月移動平均の前月比が▲0.1%と僅かだが、マイナスになったことなどが影響したのだろう。

 

●機械受注(除船電民需)7~9月期の前期比見通しは▲1.9%である。7~9月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)から昨年の11年間でみると、上振れ9回、下振れ2回であり、上振れしやすい傾向がある四半期である。20年(令和2年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率89.4%をかけたものである。7~9月期の前期比見通しの▲1.9%を達成するためには、8月・9月の各月分が前月比▲3.2%以上で大丈夫だ。一方、8月・9月の各月分が前月比0.0%なら、7~9月期の前期比は+1.3%になる。新型コロナウイルス感染症の動向が不透明な中、今後の動向については予断を持つことなく注視する必要があるものの、今年も上振れる可能性が大きそうだ。

 

 

●関連データの動きをみると、工作機械受注・内需・前年同月比は、5月分の▲57.4%を底に幾分持ち直し、6月分は▲38.0%、7月分▲39.7%、8月分▲38.6%と推移している。

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの今年の動きをみよう。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超となった。当時の設備投資関連・現状判断DIからは底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは2月34.6(同13人)、3月11.4(同11人)、4月10.0(同5人)へと急落した。その後、緊急事態宣言解除もあり、5月は16.7(同9人)、6月は20.5(同11人)、7月は32.1(同14人)、8月は43.8(同12人)と持ち直してきている。8月のコメントには「客の設備投資意欲に関しては、業種によりばらつきはあるものの、全体的に良いとはいえない。」(東北、通信会社〔営業担当〕)といったものがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは19年11月には51.6(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、12月は40.3(同18人)、20年1月は35.4(同12人)、2月は36.1(同9人)、3月は21.4(同14人)、4月は18.8(同8人)と弱含んだ。新型コロナウイルスの影響によるところが大きい。5月26.4(同18人)、6月33.3(同15人)、7月28.8(同13人)と一進一退状態だったが、8月に43.2(同11人)と持ち直した。8月では「新型コロナウイルスの第2波はあるが、ワクチン開発など明るいニュースも出始めているので、設備投資意欲が少し戻ってくると考える。」(北陸、一般機械器具製造業〔総務担当〕)という明るめのコメントも出てきた。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年7月分「機械受注」データの分析』を参照)。

 

(2020年9月10日)

 

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト
 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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