為替相場の行方を考える上で「最大の焦点」となるもの
そんな割高是正も含め、これまでと逆コースとなるナスダック指数、グロース株、テクノロジー株が主導する株安がさらに続くかは、為替相場の行方を考える上でも最大の焦点ではないでしょうか。なぜなら、最近にかけての為替相場は、冒頭でも述べたように、米ドル/円を除き、ユーロ/米ドルなどはNYダウなど米国株と順相関の関係が続いてきたからです(図表3参照)。
ユーロ/米ドルは先週、注目されたECB会合でユーロ高への強いけん制がなかったとして一時1.19米ドルまで上昇する場面もありましたが、米国株が急落すると、ユーロ/米ドルも急反落となり、改めて両者の順相関関係を確認するところとなりました。
今週は16日にFOMCが予定されています。FOMCを前後して、米国株安の流れがどのようになるか、それは為替相場の行方を考える上でも大きな焦点となるでしょう。
英ポンドは「合意なきEU離脱」懸念の再燃で急落
ところで、為替相場において先週大きな動きとなったのは英ポンドでした。9月1日には143円近い水準まで上昇していましたが、10日には135円台まで急落。この間の最大下落率は5%に拡大しました。「合意なきEU離脱(Brexit)」懸念が再燃したためとされています。
英ポンドは、昨年以降2回、125円前後まで急落しました。昨年8月と、そして今年3月の「コロナ・ショック」局面です。ところで、この2回の英ポンド安局面に比べ、日英金利差における英ポンド優位は最近にかけて一段と縮小しました(図表4参照)。
金利差の観点からすると、英ポンドは昨年以降の安値を大きく更新するリスクが高まっているといえます。
もう一つ、ポジションの観点にも注目してみます。Brexitリスクが広がる中でも、英ポンドが循環的に底打ち、反転となってきた一因に「売られ過ぎ」ということがありました。たとえば、昨年8月、英ポンド/円は125円で底打ち、反転となりましたが、CFTC統計の投機筋の英ポンド売り越しは、当時10万枚以上に拡大、過去最大規模となったのです(図表5参照)。
まさに、「売られ過ぎ」の反動が英ポンド反発の一因になったと考えられたわけです。