「9/7~9/13のFX投資戦略」のポイント
[ポイント]
・先週は米ドル反発の展開となった。これは、一本調子で展開した米ドル安が一息ついたことに伴う、ポジション調整の一時的な動きなのか。
・米国などの株価がカギとなる可能性。この間の米ドル安は米株高と高い相関関係があったが、その米国株が先週後半に急落。米国株の行方が、為替においても手掛かりになりそう。
先週、なぜ米ドルは全般的に反発となったのか?
先週は、週末にかけて全般的に米ドル反発となりました。米ドル/円も一時106円半ばまで米ドル反発となりました。ただ、より米ドル反発が目立ったのは、円以外の通貨に対する動きです。
ユーロ/米ドルは、週央にかけてついに1.2米ドルの大台までユーロ高・米ドル安となったものの、その後は一時1.18ドル割れまでユーロ安・米ドル高となりました。そして豪ドル/米ドルも、この間の豪ドル高・米ドル安の記録を更新、0.74米ドルを突破したものの、その後は0.72米ドル割れ近くまで豪ドル安・米ドル高となりました。
これは、この数ヵ月、ユーロや豪ドルに対してほぼ一本調子で米ドル安となってきた動きがひと段落つき、調整的な動きになったと考えるのが基本でしょう。ボラティリティーが高まる可能性のある米雇用統計発表や、米国市場の3連休入りを控えていたことも、ポジション調整が入りやすいタイミングだったといえます。
では、先週の米ドル反発はあくまで一時的で、米国の連休明け以降、改めて米ドル安再開を探る動きになるのでしょうか。そのカギを握っているのは、米国を始めとした株価の動きです。
「ナスダック・グロース株高」は続くのか?
ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは、3月の「コロナ・ショック」と呼ばれた世界的な株大暴落が一段落した後から、ほぼ一本調子で米ドル安(ユーロ高、豪ドル高)が展開してきました。そして、それは「コロナ・ショック」後の米国を始めとした世界的な株高と、かなり相関性の高いものでした(図表1、2参照)。つまり、「コロナ後」は、基本的に米ドル安・株高が続いてきたわけです。
先週木曜以降の米国株急落も、上述のため替市場同様にポジション調整に伴う一時的な動きに過ぎないのでしょうか。
たとえば、NYダウの90日MA(移動平均線)からのかい離率は先週一時プラス11%まで拡大、経験的に短期的な「上がり過ぎ」の限界圏に達していました(図表3参照)。
同じような構図で、最近では6月に、米国株が1割程度の下落に向かいました。では、6月のように、「上がり過ぎ」の修正でNYタウは1割の下落に向かう動きが始まったのでしょうか。
6月の株安で、NYダウより早く反発に転じたのはテクノロジー株、グロース株の割合の高いナスダック指数でした。これまで述べてきたように、「コロナ後」米ドル安・株高となりましたが、その意味では米ドル安の前提として、株高、とくにナスダック指数などIT、テクノロジー株の上昇が続くのかは最大の焦点といえそうです。
そんなナスダック指数について、NYダウとの関係を見ると、じつは2000年ITバブルとされた局面に急接近するナスダック割高となってきました(図表4参照)。
このような分析を参考にすると、テクノロジー株、ハイテク株、ナスダック指数の「上がり過ぎ」に伴う反動リスクにも注意が必要だといえるでしょう。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長
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