自分がやらなくてもいい仕事は選択肢から外す
やりたい仕事を探すことは、言い換えると、やりたくない仕事を選択肢から外すことといえます。「やりたいことがない」「見当たらない」という人は、視点を変えて、自分がやりたくないと思う仕事や、自分がやらなくてもいいと思う仕事を外すことから考え始めてもいいかもしれません。
例えば、僕はネット転売をやってみて「自分がやらなくてもいい」と感じました。ネットで出品するためには、売れそうな商品を探し、写真の撮り方や出品する時期を工夫する必要があります。商品ごとの売れ方を分析し、どの商品を、いつ仕入れ、いつ売るかを考えるという細かな作業もしなければなりません。
もちろん、その仕事に楽しさを感じる人もいると思いますが、僕にはそれが楽しめませんでした。楽しくないので今いちやる気も出ませんし、よいアイデアも浮かびません。そうして僕がパソコンの前でだらだらと過ごしている一方で、競合には「面白い商品を見つけたい」「個人商店として繁盛させたい」といった情熱を持って取り組んでいる人がたくさんいます。彼らは間違いなく僕よりもうまく転売します。
自分よりもうまくできる人がたくさんいる業界で勝負しても勝ち目はありません。そう思って、ネット転売は自分がやる仕事ではないと判断したのです。僕はそうして、「僕には向いていない仕事」「僕がやらなくていい仕事」を、つぶしていきました。
では、そこからどうやって、コーチングに行きついたのか。きっかけは、未来について思いを馳せたことでした。これからの時代、AIやロボットに代行できそうな仕事は、その担い手がどんどん機械にとって代わられていくでしょう。ですから、ロボットにできない仕事の価値が高くなっていきます。実はこの考えが、すべての始まりでした。
ロボットは計算力と記憶力がずば抜けていますから、この領域で人間が勝つことは不可能だと思います。しかし、ロボットは情熱を持っていません。共感や信頼といった感情を持つこともできません。過去の分析は得意ですが、未来を想像することができず、アイデアを出し、何かを創造することもできません。
コーチングは自分と相手とのコミュニケーションがあって成立する仕事で、その関係性を築くためには感性が必要です。相手の目標に共感し、実現したい未来を想像し、夢の創造を支援します。その夢を支援するパートナーとして相手に信頼される必要もあります。そうした仕事こそ、人間である僕がやる価値のあるものだ。そう考えるようになりました。