プレビルドのメリットは「安く買える」に尽きる
投資家に人気のあるプレビルド物件ですが、メリットも多い半面、プレビルドならではの特徴を理解していないと、後にトラブルに発展することもあります。ここでは、メリットとデメリットを検証します。
■プレビルドのメリット
●買いやすい。
●割安に購入することができる。
●分割で購入することができる。
●ローンを使うことができる。
●キャピタルゲイン(売却益)に期待できる。
■プレビルドのデメリット
●完成しないリスクがある。
●資金を寝かすことになる。
●支払いが煩雑。
●期待したキャピタルゲインが得られないことがある。
●ローンが組めない可能性もある。
メリットについて簡単に説明すると、「安く買える」ということに尽きます。資金を集めて物件を建築するわけですから、早くからその計画に関わっている分だけ割安になり、完成近くなれば値段が上がります。
支払い方法については改めて詳しく説明しますが、分割払いが可能ですし、ローンを使うことも可能です。一括払いをすれば、5%から15%ほどのディスカウントを受けることもできます。
また建物が完成するにつれて販売価格が徐々に上がる仕組みに加えて、フィリピンの経済成長による不動産市場の成長にも期待ができます。所有しているだけで資産価値が上がっていく可能性が高いのです。
最大限のキャピタルゲインを狙っている人は、プレビルド物件をいち早く一括購入して、完成後にタイミングを見て売却するという形が一番良いでしょう。
プレビルドを高く売るためには最低「1~2年」は待つ
対して、デメリットを言えば、計画段階で購入するということは、「建たないかもしれない」というリスクをはらんでいます。そのため、デベロッパー選びが大切です。
併せて、購入を決めてから建ち上がるまでの3~5年の間は、投資したキャッシュは何も生み出しません。不動産投資では、「投資した金額をいかに回すか」に着目しますが、その観点で言えば、数年間の塩漬けを余儀なくされます。
また、支払いについては分割で支払えるというメリットの半面、分割で送金する煩雑さがあります。銀行ローンが組めると言っても、日本のように決められたパッケージローンがあるわけでなく、そのタイミングによって条件も変わっていきます。
日本でも、時期によっては融資姿勢や融資条件が動くものですが、フィリピンでは日本以上に金融機関による差もあり、現地に精通した仲介業者でなければ取り扱うことができません。
最後にキャピタルゲインが見込めるプレビルド物件ではありますが、必ずしも期待した売却益が出るかと言えば、それは確約できません。
工期が3~5年かかる物件を予約購入するプレビルドは、完成すると物件価格が30%上がる仕組みになっています。これは単純にデベロッパーが決めた販売価格であり、転売時に30%上乗せして売れるわけではありません。
日本でも同様のことが起こりますが、需給バランスによって販売価格と実勢価格が乖離していきます。
たくさん売却物件が出て、購入希望を上回れば必然的に価格が下がっていきます。大きな流れで言えば、価値は上がり価格も上がりますが、タイミングによるところがあるため、売却時期の見極めが必要です。
フィリピンでは売れるまでに1~2年は待つ、という感覚が普通です。日本人の不動産投資家はどういうわけか「来月までに売りたい」とか、「3カ月以内に売却したい」と期限を切る方が多いです。
そうなると早く売るために価格を下げるしかありません。フィリピンの不動産事情をよく知らずに、「物件がなかなか売れなくて騙された」と思われる方もいるようですが、それはこういった誤解があるためです。
このようにプレビルド物件はメリットとデメリットを併せもっているのです。