ベトナムではコロナ対策が奏功しているとはいえ、やはり影響は免れられません。そんななか、ベトナム不動産を保有する日本人から売却の相談を受けることが増えています。売却を焦り、安易に交渉・手続きを進めると、思わぬところで足を取られかねないため、十分な注意が必要です。本記事では、現地で不動産ビジネスを展開する筆者が、ベトナム不動産市場の最新動向とともに、外国人権利物件を売却する際の注意点を解説します。
不動産売却を希望する日本人も急増
最近は、日本からの中古物件売却の相談も増加傾向です。その際には、売買契約の説明や手続き等を含め、外国人権利物件としての付加価値を活かす(外国人権利物件は、ローカル物件より10%~20%割高で取引されるため)ことをしっかりと念頭に置き、販売先についても、下記の優先順位で検討することをアドバイスしています。
①同国者への転売
②外国人への転売
③ベトナム人への転売
優先順位の理由を下記にまとめます。
➀同国者への転売
言葉の問題・契約書の問題・支払いの問題が起こりにくく、外国人権利物件として割高で販売できる。同国の相手は共通認識が多いので、トラブルが最も少ない。
➁外国人への転売
同国者ほどスムーズにはいかないが、外国人権利物件として割高で販売できる。
➂ベトナム人への転売
最終手段であり、基本的にはお勧めしない転売先。外国人権利物件の付加価値が活かせず、通常のローカル価格での取引になってしまうため。訳あり物件や外国人に魅力のない物件等々、問題がある物件のみ対象となる。
せっかく外国人権利物件を保有しているのであれば、転売する場合も熟考し、不動産仲介業者の口車に乗らないよう気をつけてください。複数の専門家に相談しつつ、保有物件の価値を見極めて売り出すことが重要です。
この時期にベトナムの不動産投資を検討するなら、新規でのプレビルドだけではなく、すでに流通している中古物件(外国人権利物件)も視野に入れて検討することが必要です。
とくにベトナムに渡航できないなか、まだ完成していない物件を、直接見ることもなく購入するのはリスクでしかありません。ベトナムには「すぐに完売しますよ」などとあおって焦らせ、購入を迫る業者も多くあります。
そのような対応に踊らされることなく、物件や立地をじっくり吟味したうえで、最も大切な「購入後の出口戦略」をしっかり見据えた物件を購入するようにしてください。
VINA COMPASS Co., Ltd.
General Director
沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。2018年、SHINY社、合弁解消後、新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。
VINA COMPASS社ウェブサイト:http://www.vinacompass.com/
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載ASEAN諸国で最も熱いベトナム――現地から探る不動産投資と事業の可能性