「小さな見直し」をすることで、あなたの会社の業績は大きく変わるかもしれません。平石経営研究所代表・経営コンサルタントの平石奎太氏は、書籍『生産性向上はこうする』(幻冬舎MC)にて、規模や業種を問わず、多方面にわたった「生産性向上」事例を紹介しています。

新規受注で退社が深夜に…解決方法はあるのか

E社に8月に訪問した時でした。倉庫部門の4Sの検討のとき担当者(0さん)に「忙しいですか」と聞いたのです。すると「毎日夜22:00~23:00の退社になっています」とのことでした。

 

チェーン店を全国展開する会社の地元エリアから、新たな仕事を受注した(受け入れた部材を組立て納品する)ためでした。それは、“断るな、何でも受けろ”という社長方針の面目躍如たる成果でもありました。

 

然し、一時的にしてもこの勤務状況を異常と考え改善する姿勢が欲しいと感じました。私が「定時に帰りたいでしょう」と聞きますと素直に「ハイ」と返事が返ってきたのです。そこで、何に時間がかかっているのか聞きながら作業の工程を白板に書いていきました。

 

すると部品のピッキングに延べ9時間ほどかかっていることがわかってきました。カギは部品のピッキングにありそうでした。

僅か1ヶ月で通常勤務に、カギは「工程短縮1/2以下」

概要がわかったところで私は次の提案をしてみました。「2ヶ月後の10月までに、組立の時間を1/2以下にすることに挑戦してみませんか」。すると直ぐ社長から発言がありました。「それは人を増やす話ではないですよね」。勿論人をふやす話ではありません。作業の改善によって実現するのです。

 

[図表3]工程短縮

 

そしてOさんが大きな挑戦なのに何のためらいもなく「ハイ」と聞き入れてくれたのは意外でした。

 

私は、このような、社員のひたむきで前向きの姿勢がE社の財産だと思っています。

 

次回訪問は1ヶ月後でした。途中で、状況によってはヒントを上げようと何度か思いましたが、あえて電話もせず次回の訪問日を迎えました。Oさんに会って開口一番「どうでしたか」と尋ねますと、「17:00はムリですが18:00には退社できるようになりました。」とのことでした。

 

Oさんは上司の全面的な支援を得て僅か1ヶ月で問題を解決したのです。

 

 

社長は、大幅増益効果、に大満足の様子でした。それは加工費が殆んどタダ同然(追加費用無し)になったことを意味していました(材料は支給)。

 

【主な改善点】

①出庫品置き場を150%確保

②入庫品を初めから出庫品置き場に置き作業する
→これによりピッキング作業後の商品の移動が不要に

③ピッキング作業を店舗ごとの作業から部品ごとの作業に
→これにより移動距離大幅削減

 

次ページ工程短縮のメリットはほかにも…
生産性向上はこうする

生産性向上はこうする

平石 奎太

幻冬舎メディアコンサルティング

規模や業種を問わず、多方面にわたった事例を紹介。経営コンサルタントとして数々の事業を再建してきた著者による真の生産性向上を遂げ、経営改善を成功させるための手引書。

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