「小さな見直し」をすることで、あなたの会社の業績は大きく変わるかもしれません。平石経営研究所代表・経営コンサルタントの平石奎太氏は、書籍『生産性向上はこうする』(幻冬舎MC)にて、規模や業種を問わず、多方面にわたった「生産性向上」事例を紹介しています。

コストダウンをするメリットとは?

図表2において、売上高線と原価(変動費+固定費)線が交叉する点が損益分岐点です。売上がこの損益分岐点を超えると黒字になり、到達しないと赤字になります。会社の収益性の改善を図り、コストダウンを考える時、この損益分岐点の考え方をよく理解しておくことが重要です。それを理解すればコストダウンの様々な方策・アイデアが生まれてきます。

 

コストダウンとは、一言で言えば損益分岐点売上を下げることを意味します。損益分岐点売上を下げることによって、

 

・たとえ売上が下がっても一定の利益を確保できます

・売上が現状以上なら利益の大幅増を達成することが出来ます

 

①変動費(率)を改善する

変動費(率)の改善は限界利益率)の改善と裏表の関係にあります。この限界利益(売上|変動費)が利益を生む源泉になります。図2(指益分岐点)をご覧ください。

 

変動費の改苦に成功して変動費率が下がると、変動費の線は傾斜がゆるくなって売上高と交わる損益分岐点は左に移動します(A新・損益分岐点)。つまり左に移動した分だけ売上が少なくても赤字にはならないことを意味しています。

 

反対に、材料費の上げや売価の低下などで変動費率が上がると損益分岐点は右に移動して、移動した分だけ売上が増加しないと赤字に転落することになります。また、限界利益(率)がゼロ以下であれば永久に黒字になることはありません。価格を決めるときに重要な点です。

 

このように変動が利益を生む源泉であることを考えるとコストダウンの第1は“変動費率の改善”であることは容易に理解できます。

 

そこで、何を変動費と考えるかということが問題になります。製造に比例する費目といえば会社によって多少の達いはありますが、材料費のように比例度の高いものと、光熱費のように機械設備の稼動にかかわる一部が比例的でその他は固定的なものもあります。

 

通常は、複雑な作業を省略するために比例度の高い主要な変動費を提らえて比例度の低い費目は無視して考えるのが実務的です。但し無視した分は損益分岐点売上が低めになるので、その分必要限界利益率を高めに設定する必要があります。

 

そう考えると、通常、変動費には「材料費」「外注加工費」、機械設備の多い加工業では「消耗工具費」などが該当します。

 

次ページほかに、損益分岐点売上を下げる効果があるもの
生産性向上はこうする

生産性向上はこうする

平石 奎太

幻冬舎メディアコンサルティング

規模や業種を問わず、多方面にわたった事例を紹介。経営コンサルタントとして数々の事業を再建してきた著者による真の生産性向上を遂げ、経営改善を成功させるための手引書。

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