ひとり暮らしの高齢者が不安に感じていることは?
こうして見てくると、「やむなくひとり」ではなく、「望んでひとり」という高齢者が少
なくないことがわかります。とはいえ、自由で気兼ねの要らないひとり暮らしも、いいこ
とばかりではありません。すぐそばに頼れる人がいないため、特に年をとってからはさま
ざまな不安が生じます。
ひとり暮らしの高齢者は、日常生活のどんなことに不安を感じているのでしょう。
内閣府が2014(平成26)年に実施した「一人暮らし高齢者に関する意識調査」によれば、「健康や病気のこと」「寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」を不安に感じる人が圧倒的に多いことがわかります。
生老病死という言葉がありますが、老い、病気、死は、ひとり暮らしの人に限らず年をとれば誰もが直面する大きなリスクです。自分のことが自分でできない状況になれば、どんな人も、誰かの手を借りなければなりません。
しかし、ひとり暮らしの場合、たとえば突然、高熱を出して寝込んだときなど、看病してくれる人はそばにいませんし、離れて暮らす子どもがいたとしても駆けつけてくれるとは限りません。
高熱があっては自分で食事を作る気力はないでしょうし、買ってくることもできません。病院に行くのも、そんな状態ではひとりで外出するのはとても不安でしょう。そのうえ、ひとりで寝込んでいると、「自分はこのまま死ぬのではないか」「悪い病気ではないか」などと、良くないことをあれこれ考えてしまいがちです。
それ以外にも「認知症になったらどうしよう」「自宅で突然倒れて、救急車も呼べず、誰にも助けてもらえなかったらどうしよう」「悪徳商法にかかったらどうしよう」「夜中に
強盗に入られたらどうしよう」などと、ひとり暮らしの不安はつきません。
なかには、「誰がお葬式を出してくれるのだろうか」「お墓はどうなるんだろう」などと不安に思う人がいるかもしれません。