2020年4~6月期法人企業統計・設備投資などについて

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前期比▲6.7%、前年同期比▲10.4%

 

4~6月期GDP第2次速報値で、設備投資は下方修正、在庫変動も下方修正か

 

 

●20年4~6月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は▲10.4%と、1~3月期の前年同期比▲1.4%から9.0ポイント伸び率が悪化した。新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかったと思われる。1~3月期で前年同期比▲7.2%の減少だった製造業は、4~6月期で同▲11.4%へと減少率が拡大した。非製造業は1~3月期で前年同期比+1.6%の増加だったが、こちらは4~6月期で同▲9.8%の減少に転じた。

 

●4~6月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は▲6.7%と2四半期ぶりの減少に転じた。製造業は▲5.4%と6四半期連続の減少になった。非製造業は▲7.4%と2四半期ぶりの減少に転じた。

 

●なお、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は4~6月期は▲6.3%と2四半期ぶりの減少に転じた。製造業は▲5.3%と2四半期ぶりの減少に、非製造業が▲6.8%と2四半期ぶりの減少になった。

 

●法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)で4~6月期の全産業の前年同期比は▲11.3%で1~3月期の+0.1%と比べ11.4ポイント伸び率が悪化したが、資本金別の内訳をみると、中小企業の方が大きな前年同期比・減少率になった。資本金10億円以上の大企業では前年同期比は▲9.4%と、1~3月期の+0.3%から9.7ポイント悪化した。また、資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は▲11.6%と、1~3月期の+11.8%から23.4ポイント悪化した。また、資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は▲15.2%の減少で、1~3月期の前年同期比▲9.2%からは6.0ポイント減少率が悪化した。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した4~6月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は▲5.0%で1~3月期の▲1.8%から3.2ポイント悪化していたが、法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は1~3月期から4~6月期へ9.0ポイントと大きく悪化した。また、4~6月期GDP第1次速報値の名目設備投資の前期比(季節調整済み)は▲3.0%の減少であるが、法人企業統計(ソフトウェア投資額を除くベース)の前期比は▲6.7%の減少になった。

 

●4~6月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、4~6月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲18.3%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は▲31.8%であると公表されているが、4~6月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は▲39.0%となり、仮置き値より7.2ポイント大きい減少率になった。なお、断層補正の影響はあまり大きくないとみた。

 

●4~6月期GDP第2次速報値の設備投資で、主に法人企業統計からみる需要側推計値は下方修正要因、またソフトウエア投資の部分は特定サービス産業動向調査6月分確報値からみて下方修正要因になるとみた。

 

(民間在庫変動)

 

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると20年4~6月期は2,156億円で19年4~6月期の1兆6,389億円から▲1兆4,233億円の減少となった。また、原材料・貯蔵品在庫は20年4~6月期は2,136億円で19年4~6月期の1,440億円から696億円の増加となった。合わせて▲1兆3,537億円、前年同期に比べ減少した。

 

●一方、20年4~6月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は1兆4,309億円で19年4~6月期の2兆413億円からは▲6,104億円の減少であった。20年4~6月期GDP第1次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は▲0.4%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目でプラス寄与は原材料在庫だけで、残りはマイナス寄与。マイナス寄与が小さい順に、仕掛品在庫、流通品在庫、製品在庫が続くということだった。

 

●今回の法人企業統計を受けて、GDP第2次速報値で仕掛品在庫のマイナス寄与度が大きくなる可能性が大きいとみられる。今回の法人企業統計はGDP第2次速報値での名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度の下方修正要因になりそうだ。

 

(20年4~6月期GDP・第2次速報値予測)

 

●9月8日に発表される20年4~6月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動などを中心に改定される。

 

●20年4~6月期GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比▲5.0%程度と第1次速報値の同▲1.5%の減少率が拡大すると予測した。また、実質民間在庫変動の前期比寄与度は▲0.1%程度と、第1次速報値の▲0.0%から下方修正されるとみた。

 

●また、公共工事出来高の前年比は4~5月分平均が+7.3%だったが、4~6月期の前年同期比は+6.9%と伸び率が鈍化した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は+0.9%程度の増加と第1次速報値の+1.2%の増加から下方修正されるとみた。

 

●20年4~6月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比▲8.4%程度、前期比年率▲29.6%程度と予測する。第1次速報値の前期比▲7.8%程度、前期比年率▲27.8%から下方修正されると予測する。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年4~6月期法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

(2020年9月1日)

 

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト
 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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