命にかかわる病気の多くは「生活習慣」に起因している
いつまでも元気でいるためには、悪い生活習慣を見直すことが基本中の基本です。これを実践せずに元気でいられる人は、ほとんどいません。なぜなら、命にかかわる病気の多くは、生活習慣に起因しているからです。
厚生労働省が発表した2018年の人口動態統計によると、日本人の死因は1位が「がん」(27.4%)、2位が「心疾患」(15.3%)、3位が「老衰」(8.0%)、4位が「脳血管疾患」(7.9%)、5位が「肺炎」(6.9%)となっています。
興味深いのは、2016年までは「肺炎」が3位でしたが、2017年には「脳血管疾患」が3位、「老衰」は4位となり、2018年には「老衰」と「脳血管疾患」の順位が逆転していることです。
一見、日本が超高齢社会になったことを実感させる結果ですが、データをよく見ると、誤嚥性肺炎(2.8%)が肺炎とは別にカウントされていません。両者は区別がしにくく、例えば嘔吐したときに明らかに吐物を誤嚥して起こる肺炎と、咳反射が鈍ってヨダレなどが気づかないうちに肺に入って起きてしまう肺炎を、どのように確認しているのでしょう。
また、肺炎は体が老化・衰弱しているときに起こるので、死因が誤嚥性肺炎であっても老衰とされるケースが実際にはあるなど、これらの線引きは曖昧なのが現状です。したがって、肺炎と老衰は一体のものと考えられ、これらを合わせると17.7%で3位となります。
さらに、心疾患と脳血管疾患も主な原因は動脈硬化なので、循環器系の疾患として考えることができ、合わせると23.2%で2位となります。
このようなことから考えてみると、死因の1位は「がん」、2位は「動脈硬化性疾患」、3位は「感染症ならびに衰弱」と整理することができるのです。すなわち、私たちが警戒しなければならない病気は、「がん」「動脈硬化」「感染症」の三つといえます。
動脈硬化とは、血管が劣化して柔軟性が失われ、硬くなったりひび割れて裂けてきたりする状態をいいます。さまざまな病気を引き起こすため、この予防なくして健康で長生きすることは困難といわざるを得ません。
なかでも大動脈といわれる太い血管に動脈硬化が起こると、大動脈瘤や大動脈解離などの命にかかわる病気のリスクを高めます。しかし、血管は太いものから枝分かれしてどんどん細くなり、全身に網の目のように張り巡らされているため、細い血管の血流が悪ければ当然、太い血管にも影響が及んできます。
また、内臓や筋肉に酸素と栄養を届けているのは細い血管ですから、この血流が滞ると内臓や筋肉にも影響してきます。したがって、太さに関係なく血管の若さを保つことが重要となるわけです。
さらに、血流が悪くなると免疫細胞の働きも衰え、免疫力が低下します。そうなると、がんやウイルスなどを駆逐できなくなるため、がんや肺炎などを発症しやすくなります。つまり、がんや感染症にも、血流を阻害する動脈硬化が関係しているといえるわけです。したがって、動脈硬化を引き起こす原因となる生活習慣の改善こそが必要不可欠となるのです。