髪にいいシャンプーもあるが、何より「洗い方」が大切
ところで、「石鹸シャンプー」というものをご存知でしょうか。もしくは使ったことがありますか?実際使用している人は少ないようですが、じつは石鹸シャンプーはとてもおすすめです。
一般的なシャンプーには「髪によい」とされる成分のほかにも、防腐剤などの化学物質が多量に含まれています。シャンプーボトルの成分表示を見ると、その数たるや驚くほどです。一方、石鹸シャンプーの成分は基本的に水と石鹸のみ。つまり、髪に負担を与えないシャンプーだといえます。特に、純石鹸を使った自然なものがおすすめです。
じつは私の母は、私が子どもの頃から石鹸シャンプーを愛用していました。子どもだった私は当時、石鹸シャンプーなんて格好悪いと思っていましたが、今思えば母は時代を先取りしていたのかもしれません。石鹸シャンプーのほかにも無農薬の食品を選んでいました。その石鹸シャンプーのおかげか75歳になった今でも、母は髪が豊かにふさふさなままです。それを見ても石鹸シャンプーの効用を感じます。
ただし、シャンプーで一番大切なのはシャンプー選びではなく、シャンプーの方法です。つまり、シャンプーをするときに爪をたてないようにして、頭皮を傷つけないこと、また、しっかり洗い流すことです。
寧ろ薄毛の原因に…「毎日シャンプー」の危険性
現代ではシャンプーのしすぎが問題とも思えます。テレビでも街頭でも、いたるところでシャンプーの広告を目にすることで、現代の日本人は「シャンプーしなきゃ」と思い込んでいるのです。それが薄毛の原因になったり、薄毛を加速させたりすることがあるにもかかわらず、メーカーの戦略に乗せられてしまっているのです。
シャンプーのしすぎがよくない理由は、まず頭皮の皮脂を取りすぎてしまうことです。皮脂がたまりすぎるのは薄毛にもよくありませんが、皮脂を取り去りすぎると、よけいに皮脂が生産されてしまいます。あぶらとり紙などで顔の脂を取りすぎると、必要以上に脂が出てしまったり、ニキビで悩んでいる方が、ニキビ菌の繁殖を抑えようとして顔を洗いすぎることが、さらにニキビの悪化の原因になったりするのと同じく、よかれと思ってしていることがかえって悪循環を招いているのです。
そのように皮脂が次々と生まれ、皮脂腺の活動がさかんになると、毛髪をつくるために使われるべき栄養までが皮脂腺に奪われてしまいます。これが、シャンプーのしすぎが薄毛によくない理由です。さらに、シャンプー成分の防腐剤などによって頭皮の常在菌までが殺菌されすぎるのも、毛髪のためにはよいことではありません。常在菌は髪を弱酸性にして、カビや雑菌を防ぐ役割があります。その常在菌がなくなりすぎるとカビが繁殖し、脂漏性皮膚炎という頭皮の炎症が起きることもあります。それが薄毛の原因になることもあるのです。
それに加えて、シャンプーをしすぎると、頭皮の内部の水分が失われてしまう危険性があるのも問題です。頭の皮膚の一番表面にある表皮は、皮膚内部の水分を保持する機能を担っています。ところがシャンプーをしすぎると、シャンプー剤に含まれるさまざまな化学物質や、指による物理的な摩擦によって、表皮が破壊されてしまうことがあるのです。
そうなると皮膚内部の水分が失われ、乾燥してしまいます。そもそも細胞の成長や増殖には水分が絶対に必要。そのため、水分が失われた頭皮内部では毛根が成長できず、薄毛の原因となってしまうのです。
「毎日シャンプーしなければ、髪が不潔になり、ひいては薄毛につながる」というのが常識になっていますが、そもそもこれがウソなのです。
元神 賢太
青山セレスクリニック(青山院・川口院) 理事長
船橋中央クリニック 院長