平成時代の水害件数で判明!東京・下町は水害が少ない
いわゆる「洪水」は河川の氾濫のことで、堤防を境に河川は市街地の外側にあることから、外水、または外水氾濫と呼ばれます。一方、堤防の内側、市街地の側溝や排水路、下水道などから溢れ出た水による水害を、内水、または内水氾濫と呼び気象庁では浸水害とも言っています。
23区で多いのは、圧倒的に内水氾濫で、都市の排水能力を超えたときに発生しますが、近年、局地的、かつ短時間に雨が降るゲリラ豪雨の増加で頻発しています。一方で平成時代、東京23区で洪水被害があったのは数える程度です。
これは東京近郊を流れる主要河川で行なわれている治水対策によるもの。氾濫リスクが高い区域では、堤防強化や堤防拡幅、高規格堤防などの整備などが行なわれています。また埼玉県春日部市の地下50mにある、世界最大級の地下放水路「首都圏外郭放水路」や、神田川、白子川、石神井川を結ぶ「環状七号地下広域調節池」に代表されるように、増水した川の水を取り込み排水する水路が整備され、水害被害を食い止めています。
では実際に東京23区で、どれくらいの水害が起きてきたのか、東京都建設局「水害統計調査」をもとにみていきましょう。
平成元年~平成10年の水害件数をみてみると、特に平成5年の被害が突出しています。8月26~27日にかけて東日本を中心に襲った台風で、都心では東京8月1カ月分にあたる300mm近くの雨量を記録し、23区では1万世帯以上の浸水被害が報告されました(図表1)。またこの10年浸水被害が多かったのは、文京区を筆頭に、足立区、品川区、新宿区、台東区と続きます。
続いて、平成11~20年をみていくと、特に被害が多かったのが平成17年(図表2)。例年よりも降水量が多かった年で、集中豪雨と台風により、多くの水害が発生した1年でした。特に9月4日の集中豪雨では、5,000を超える浸水被害が報告されています。この10年で被害が多かったのは、品川区を筆頭に、杉並区、中野区、世田谷区、目黒区と続きます。
そして直近の平成21~30年をみていくと、過去のように1万世帯の浸水被害が報告されているような年はなく、最も多かった年でも、平成22年で1800世帯強(図表3)。都心で行われている治水対策がうまく機能していると考えられます。この10年で浸水被害が多かったのは、北区を筆頭に、目黒区、豊島区、板橋区、杉並区と続きます。
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