30年を超える歴史を持つスリランカのコロンボ証券取引所。証券会社に対し、リスク評価に基づいた適切な自己資本比率を求める規制が導入されようとしています。前回に引き続き、この新規制が証券会社に与える影響を取引所CEOのバンダラナイケ氏に尋ねます。

証券会社の多くでは、影響は「限定的」と想定

――各証券会社が、これまでと同様の取引を継続しようとした場合、今回のリスク評価に基づく自己資本規制導入によって業界全体では、どのくらいの資本追加が必要になってくると考えていますか?

 

我々は2011年、2012年、2015年の取引実績を基にして、それぞれ異なるシナリオでバックテストしてみましたが、実際のところは、エクスポージャーとボリュームによって結果は大きく異なってきます。そのため、今、いくらの追加資本が証券会社には必要になってくるのかを具体的に言うことはできません。ただ、我々が言えることは、自己資本規制比率の導入によって、自らのポジションを修正しなければいけない証券会社はそう多くはないだろうということです。

 

これが2011年の取引レベルを基準にした場合では、収入が大きく財政状態も良好であったために、自己資本規制比率ははるかに高くなっていたでしょう。今日、当時と同レベルの取引をしている証券会社ももちろんありますが、それに及ばない証券会社も沢山あります。

業界再編の契機になり得る自己資本規制の導入

――リスク相当額の4つの要件のうち、どれが証券業界にとって一番の課題となってくるでしょうか?

 

どれも同じくらい重要であると思います。なので証券会社はすべてのリスクを考慮しないといけません。例えば、単一債権の大口エクスポージャー・リスクは、運用リスクと同じぐらい重要です。これらのリスクは、全リスク相当額を計算する上で重要です。どれか一つに優先順位をつけることはできません

 

――自己資本規制比率の導入は、業界再編につながると思いますか?

 

約30社というスリランカにある証券会社の数は、スリランカの市場規模を考えればいくぶん多い数だといえます。そのため、限られた出来高を、数ある証券会社で分け合っている状況にあるため、業界再編は必然的に行われることになるでしょう。よって自己資本規制比率が導入されれば、市場の再編は自然に行われていくのだと考えます。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年3月に掲載した記事「RISK-BASED BROKER CAPITAL IN THREE MONTHS, DVP IN A YEAR」を、翻訳・編集したものです。

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