30年を超える歴史をもつスリランカのコロンボ証券取引所。証券会社に対して新たな自己資本割合を求める規制と、新しい決済システムが導入されようとしています。今回はその他に、取り組んでいくべき改革案について取引所CEOのバンダラナイケ氏に尋ねます。

目標は「フロンティア市場」から「新興市場」への移行

――空売りが一般的に行われていく方向を向いているかと思いますが、スリランカのマーケットは今はまだその準備ができていないのでしょうか?

 

本格的に空売りを始めるため、まずは一日の決済期間で様子を見ています。あるマーケットでは、空売りが許可されたところ、混乱状態になり、空売りを中止しなければいけなくなりました。そのため、空売りは規制があるべきであり、ルールや規制当局の承認が必要であると考えています。

 

――自己資本規制比率(CAR)DVP決済導入のほかに、コロンボ証券取引所は何を行おうとしているのでしょうか?

 

まず、私たちは「フロンティア市場」から「新興市場」へステータスを移行させるという目標を掲げて、ここ数年間やってきました。そのための施策を行う必要があります。まずはコロンボ証券取引所の市場規模を拡大し、流動性を向上させる必要があります。また私たちは、MSCIエマージング・マーケット・インデックスに入りたいと思っています。それには、最低限のパブリック・フロート(流動株)要件を満たす企業が少なくとも3社あるというような基準があります。残念ながら今のところ、それを満たしているのは1社のみです。

株式以外のプロダクトを増やし、収益源を多様化する

そして次に、これまでは株式と社債のトレーディングを行ってきましたが、我々は投資家に対してより多くの選択肢を提供するため、プロダクトを多様化する必要があります。例えば、REIT(不動産投資信託)、ワラント債、ETF(上場投資信託)、イスラム債、金融派生商品のようなデリバディブ商品です。しかし、これらはセントラル・カウンターパーティ・システム(CCP)が実行されなければ提供できません。

 

第3に、規制の枠組みを強化します。投資家の信頼についての議論がよくあがりますが、信頼醸成には適切な規制とその執行によってのみ可能になります。このことはすでに証券取引委員会が言っていることです。規制が全体的に刷新され、世界基準と同等の枠組みが導入される予定です。

 

第4に、市場インフラの整備です。つまり、自己資本規制比率(CAR)、セントラル・カウンターパーティ・システム(CCP)、DVP決済、リスク管理システムを導入し、また取引所自体のインフラを整備することが必要です。

 

第5に、取引所の組織を向上させることです。我々は今、コロンボ証券取引所を学習する組織に作り替えています。これらの課題に対応するために、トレーニングと開発に多くのリソースを投資しています。また、収益源の多様化をすすめています。今のところトレーディング収益に過度に依存していますが、ここ数年の間に多様化してきました。ロンドンのような発展した取引所では、株式からの収入の割合は20%未満であり、収入の大半は株式以外から得たものです。コロンボ証券取引所もこの方向に向かっています。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年3月に掲載した記事「RISK-BASED BROKER CAPITAL IN THREE MONTHS, DVP IN A YEAR」を、翻訳・編集したものです。

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