30年を超える歴史をもつスリランカのコロンボ証券取引所。証券会社に対し、リスク評価に基づいた適切な自己資本比率を求める規制が導入されようとしています。今回の新規制の内容と、証券会社に与える影響を取引所CEOのバンダラナイケ氏に尋ねます。

リスクに基づいた適切な自己資本割合を求める

――前回に引き続き、新たな自己資本規制導入する理由について教えてください。

 

証券会社の資本には5種類のリスクがあります。そのうち、引受けリスクとポジションリスクは、証券会社が抱えるリスクの全体額を計算する際には直接対象にならないでしょう。なぜなら証券会社はディーラーではなくブローカーだからです。しかし、カウンターパーティ・リスク、運用リスク、大口エクスポージャー・リスクは対象になるでしょう。

 

これらリスクを母数にして自己資本規制比率(CAR)1.2倍が求められます。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本を全リスク相当額で割ったものであり、1.2倍というのは世界基準ではもっとも低い値です。

 

全リスク相当額はリスクを数値化したものです。各リスクは異なった方法で計算されます。たとえば運用リスクに対しては、証券会社の年間経費の25%をあてます。カウンターパーティー・リスクは、債権をそれぞれのリスク割合にもとづいて計算し、スリランカ・ルピーに変換したものです。そして各種リスクを算出して集約し、全リスク相当額を割り出します。

 

前述のとおり、固定化されていない自己資本の額をリスク相当額で割った自己資本規制比率は1.2倍以上でなければなりません。市場が開いている日は毎日、証券会社はテンプレートに沿ってこの値を報告することになるでしょう。

新たな規制導入に伴う証券会社への影響は?

――実用化されると、業界にどのような影響がありますか 証券会社はビジネスモデルを変更する必要があるのでしょうか より多くの資本必要になるのでしょうか?

 

自己資本規制比率が最低基準の1.2に満たない場合、証券会社はポジションを修正するために追加の資本が必要になるかもしれません。もちろん運用が開始されるまでには、一定の準備期間があり、3ヶ月から6ヶ月後の実施を考えています。導入後、もし自己資本規制比率を維持できなければ、証券会社はポジションを修正するまで、新規契約ができなくなるでしょう。

 

これによって証券業界の全体的なリスク・ポジションを強化できると考えています。取引所として、我々はより効果的にリスクを評価しています。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年3月に掲載した記事「RISK-BASED BROKER CAPITAL IN THREE MONTHS, DVP IN A YEAR」を、翻訳・編集したものです。

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