弁護士が「破産しかないですね」と簡単に言い放つワケ
■死を宣告された会社を生き返らせる
少しばかり、専門的で難しい説明をしますが、しばらくおつき合いください。もし、あなたが中小企業の経営者や幹部でしたら、直面している問題かもしれません。
国税庁の発表によりますと、2017年度における普通法人(協同組合や公益法人を除いた法人)269万4000社のうち赤字決算だった法人は約168万7000社で、62.6%が赤字会社ということでした。つまり、中小企業3社のうち2社は赤字ということです。
さらに、中小企業を取り巻く経済、経営環境は、10年以上にわたって絶えず前期より悪い景況感が続いています。つまり、中小企業の景気は年ごとに厳しくなっているということです(中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」による)。
このように、中小企業の景況はまだ底入れをしておりませんし、大企業と中小企業は別物と考える必要があります。何だかんだ言ったところで、多くの大企業はたっぷりと利益を出し莫大な内部留保を蓄えています。
中小企業は、このように恵まれない景況の上に、人財的にも資金的にも、経営スキルの面からも大企業と比較にならないほど脆弱(ぜいじゃく)です。それに加えて、中小企業に対する経営指導・支援する側にも問題があります。
弁護士や税理士が、経営再生の指導にあたることがよくあります。しかし、弁護士は法律の専門家であっても、経営の専門家ではありません。税理士も、税金の専門家であり財務諸表をつくることについてはプロですが、残念ながら経営についてはほとんど理解できていません。
これは、彼らの事業の目的が〝経営〞ではないから当たり前のことです。多くの弁護士は、これは厳しいとなったら「破産しかないですね」と簡単に言います。
なぜなら、破産をさせますと、弁護士としてその手続き等で裁判所に出す予納金とほぼ同じくらいのフィーを受け取ることができるからです。ほんの少しの手間で何十万、何百万というお金が弁護士の懐に入ります。こんなうまい仕事はありません。したがって、破産する必要のないケースでも破産に導くことがあるのです。
知り合いの弁護士に、この話をしますと、彼らはニヤリと笑って、「実はそうです」と白状します。もちろん例外の弁護士もいます。
このお金は誰が払うのか?といえば、それは当然のことですが、企業が払います。お金がなくて破産するのに、その破産するにも大金がいる現実を納得できますか?