早稲田、慶應、青学…それぞれの大学院費用は?
■大学院にかかる費用は?
さて、いよいよ具体的な話題になりますが、大学院に入るための入学金と年間の授業料はどのくらいかかるのでしょうか。2016年4月の実績ですが、主要大学の入学金と年間授業料などを表にまとめてみました[図表1]。
「大学院名」については、それぞれの大学によって名称が異なりますので、基盤となる大学の名称を表示してあります。また、「その他」については、「諸会費」とか「施設設備費」とか「互助会費他」のように、大学院によって異なった名称で徴収(ちょうしゅう)する金額を合計したものです。
なお入学金は、修士入学時に一時的に支払う費用です。修士課程を修了して博士課程に進学するときには、多摩大学大学院ではどういうわけか再度、博士課程の入学金を支払いました。同じ大学院の進学なのに、また入学金を支払うのは不合理だ、と事務課にクレームを入れたのを覚えていますが、残念ながら却下されました。
私の場合ですが、多摩大学大学院の修士課程に2年、その後、博士課程に4年、合計6年間在籍しましたので、授業料は年100万円×6年=600万円、入学金は修士過程と博士課程の2回ですので、30万円×2=60万円、したがって、大学院で学ぶ費用は合計660万円かかったことになります。
それ以外にかかる費用としては、博士論文を取得するためには、いくつかの学会に入らなければなりませんので、その学会費が必要となります。さらに、論文を書くためには、研究を深めるための参考書が必要です。
参考書の範囲は経営学、統計学、心理学関係などの専門書、学術論文からビジネス本に至るまで、それこそ山ほどの書籍を欠かすことができません。よく、学者の部屋の写真などを見ますと、本棚や机はもとより、床にまで書籍が散乱している様子が写っています。
私はこれを見たときに、「なんじゃ、これは! 頭の中も、こんなに散らばっているのだな!」なんて思っていました。しかし博士論文を書いていますと、自分の部屋も、まったく同じように、書類や資料が散乱してきました。
大学院費用660万円に加え、書籍代を足したらなんと…
このように、多くの参考文献を求めて研究するため、できるだけネット書店などを使って安く購入することに努めました。それでも、大学院に支払う費用660万円に、書籍代等を合計しますと、1000万円は超えていたと思います。
■老いていく不安を解消する
中高年者が自分が老人になったときに、それぞれの年代別にどのような不安を持つか。これについて厚生労働省が調査した分析結果を表にまとめてみました[図表2]。
やはり、どの年代でも「健康上の問題」が全体の3/4程度を占(し)めています。「経済上の問題」に対する不安については、50〜59歳の定年前の年代層の72.3%が不安を持っていますが、実際に老年になった70〜79歳では50%を割り、減少傾向にあります。
なかでも、注目に値する項目は「生きがいの問題」ではないでしょうか。50代では17.9%ですが、実際に70歳を過ぎるようになりますと31.4%と、不安問題の中でも第3位を占めるように大きくなってきます。
70歳くらいになると、生きがいを見出せない人が多くなるということで、年をとっても続けられる生きがいを若いうちにつくっておく必要があるのですね。このように見ますと、「健康」「経済」そして「生きがい」が高齢者にとって、重要な課題であると言えるのではないでしょうか。
博士論文を取得することは、相当のハードワークであると覚悟しなければなりませんでした。たぶん、大学受験はもとより、司法試験のための勉強以上の時間と気持ちの集中が必要だと思いました(実際にその通りであることを体験いたしました)。
若い頃はスポーツで鍛きたえ、社会に出てからは数日の徹夜もいとわずこなし、体力には相当の自信を持っていました。ところが、いざ大学院に行こうとしたところで、前立腺がんを宣告されました。
先端治療のおかげで、がんの全摘手術は成功し、現在は転移も見られず、完治したと主治医から言われるようになりました。そのために数年間のロスタイムを取らざるを得ませんでしたが、この大病は、これまで自信満々だった私に、もっと健康管理をしなければいけない、という意識を植えつけ、いまも定期的に病院に通って、検査をしています。
吉岡 憲章
未来事業株式会社 代表取締役