「儲かる仕事」待ちのワンマン社長は結局…
社長個人の意思決定は、ほぼその通りに会社の方針となり行動となります。思いつき的な事業や投資でも、社長の個人的な考えが通ってしまいます。規模も小さいため、社長と末端社員との距離は大企業と比較して、はるかに短いと言えましょう。
社長のやる気は、そのまま社員に伝わります。社長の怠惰も、そのまま末端まで浸透し、それが社風となってしまいます。したがって、社長の持つ危機意識はそのまま社員に伝わり、それによって会社の実行力の向上へとつながります。その結果が、再生が実現できるか否かにかかってくることになります。
このように、中小企業の再生においては、社長の意思決定がそのまま会社の行動指針となります。それゆえ、何と言っても経営の中核を担う経営者、特に中小企業においては経営陣というよりも、社長の持つ危機意識を強化させることが第一です。
たまたま、いわゆる「儲かる仕事」が降ってくることがあります。しかし、一時的に収益が改善しても、社長の本質的な意識変革、特に社長の持つ危機意識の強化なしには何をやっても先が続きませんし、積み上げができないのです。前述のように、このままでは経営破綻を待つしかないほど、窮境状態にある中小企業を救うことができたのは、まさしく経営の中核である社長の意識変革という急所にくさびを打ち込んだことによるのです。このことが、私の博士論文を構成する幹となっているのです。
■先行研究がない独創性の追求
博士論文の研究は、これまでにすでに発表されたり提案されている研究や理論と同じような内容では評価されません。それどころか、盗作の汚名を着せられてしまうことさえあります。このようなことになったら研究者としての命は絶たれることになります。
そこで、自分の研究に関連する先行研究がないかについて、学術論文や専門書、さらには、いわゆるビジネス書といわれるものに至るまで血眼になって徹底的に調べます。仮に、似たような研究がある場合には、その研究と自分の論文とどこがどのように異なるのかを明確にしなければなりません。