自分の知り合いにモノを売るつもりで…
一般的に、セールスにおいて「リスト」と呼ばれるものには、 3種類が存在します。「白地リスト」「見込客リスト」「顧客リスト」の順番で、それぞれに役割があります。わかりやすくするためにイメージで例えます。白地リストは、「顔と名前が一致しないが同級生だった人」、見込客リストは、「顔と名前が一致する同級生」、そして、顧客リストは、「付き合いのある同級生」です。
顧客リストの有用性についての有名なエピソードを2つ紹介しましょう。
(1)江戸時代の呉服屋は、火事の際は顧客台帳を井戸に投げ込んでから逃げた。火事が収まったら井戸から引き上げ、それを基に商売を再開した。
(2)アンドリュー・カーネギー(鉄鋼王)は、「私の全ての財産を持っていってもかまわない。ただし、顧客リストだけは残しておいてくれ。そうすれば、私はすぐに今の財産を築いてみせる」という言葉を遺した。それくらい、商売がわかっている人にとって、顧客リストは大切なものなのです。
「白地リスト」に該当する人は、相手と過去に何らかの接点はあったにせよ、あなた自身がよくわかっていない存在ですから、コンタクトを取れる間柄になることから始めます。「顧客リスト」にいる人は、すでに顧客になった人ですから、アフターフォローや新たな口コミを起こすための行動、商品提案などをしていきます。
ここでは、これからセールスを進める上で1番の肝となる「見込客リスト」について、解説します。ここでいう見込客とは、「あなたがコンタクトでき、新たな顧客になる可能性がある人」のことです。
見込客リストには、声をかけられる人、自分の話を聞いてくれる人すべてをピックアップし、リスト化していきます。項目としては、「名前」「関係性」「年齢」「性別」「属性」「試食(1)〜(5)」「興味関心ごと」「進捗」といった項目を書いておくとよいでしょう。
候補者一人ひとりを思い浮かべながら見込客となる人の情報を書き込んでいると、自然にその人と選ぶ時が頭に思い浮かんでくると思います。後でセールスをする際に生きてくることがありますから、細かい話でもメモをとっておくといいでしょう。
ひょっとすると、中には「自分の知り合いにモノを売るなんて…」と気後れする人もいるかもしれません。しかし、先述のように、元来、人の購買行動は、よりよい未来を手に入れるために行われます。
この作業をした人からよく受ける質問として、「見込客リストに挙げた人が、ペルソナとは思えない場合はどう扱えばよいですか?」というものがありますそもそも論として、あなたが見込客リストに挙げた人は、まだ「話しかける権利を持った人」というだけの段階です。必ずしも、「話しかける権利を持った人」=「ペルソナ」とはなりません。
あなたが何かしらの商材を扱っている場合、ペルソナとかけ離れていると思わしき見込客リストの対象者と接点があるなら、迷わず興味付けのアクションを行う癖をつけましょう。セールスを日常の一部に溶け込ませる、これがトップセールスの共通点です。
これには、理由が、3つあります。
(1)セールスを覚えたら何でも扱える自分になるので、時代の変化でいずれ何かヒットする。
(2)自分が「この人はペルソナではない」と勝手に思っただけという可能性を排除する。
(3)そもそも、自分に利がある時だけ近づいてくるような人は、永遠に信用されない。
俣野 成敏
ビジネス書著者
投資家
ビジネスオーナー