意味:〜になりました。〜に決定しました (重要な報告や、フォーマルな内容を伝える時に使う)
〇 創業 20 周年を迎えることと相成りました。
× 創業 20 周年を迎えることになりました。
伝える内容が重要であり、その重みを伝えられるか
◯の「相成りました」を使う代表例としては、「ご婚姻がつつがなく相成りました」というような、フォーマルな場面が考えられます。この表現で、いろいろな過程を経て、ようやくここまでに 至ったことを表せます。これも×とは重みが全然違います。何か重 要なこと、聞きづらいことを確認する場合は「いかが相成りましたでしょうか」と尋ねるとよいでしょう。
意味:どんなに悪かろうといかに不十分であろうと、それなりに(謙遜しているニュアンスを出す)
〇 まがりなりにも、学校を卒業することができた。
× どうにか、学校を卒業することができた。
聞いている人を引きつけられるか
「まがりなりにも」は、「なんとか最低の条件を満たしたから、その後どうなったか」という期待を感じさせる言葉です。聞いている相手にこの言葉で「次に何が出てくるのか」と興味を湧かせ、引き込むことができます。一方、×の「どうにか」では、そこでストーリーが終わってしまいます。ですから相手を引き込むこともありません。
意味:ある一定の条件や手順のもとで、 同一の特性や同じことが繰り返し起こるかどうか
〇 そのやり方に、再現性がないと意味がない。
× そのやり方に、誰がやっても同じでないと意味がない。
同一の程度の厳密さが伝わるか
◯の例は、まさに同一の特性や同じことを繰り返し行えるかを示しています。×の「誰がやっても同じ」という表現は、〝同じ〞 の度合いが、〝似ている程度〞であるのか、〝ほぼ同じ程度〞であるのか、それとも〝全く同じ〞であるのか、を厳密に伝えるのに適していません。
意味:結局。本当のところ。将来のことはわからないが、今のところ
〇 さしずめ、あなたしかそれを実行できる人はいません。
× つまり、あなたしかそれを実行できる人はいません。
結論に至るまで、きちんと考えたという印象があるか
「さしずめ」という言葉は、「その結論が出るまで、当てはまることをじっくり考えてきた」というニュアンスを伝えることができます。自分の意思や考えがその言葉にしっかりと込められ、そしてそれが相手に伝わることになります。その結果、伝えられた相手は自分の意見に対して反論や否定をしにくくなります。一方×の表 現「つまり」にはそこまでの深さはありません。
意味:面目を失うような失敗。顔に泥を塗るようなことをしでかす
〇 あの件では、彼は失態を演じてしまった。
× あの件では、彼はしくじってしまった。
どこまで失敗と向き合っているかが伝わるか
◯の「失態を演じる」は、その人の価値そのものがなくなる、 積み上げたもの、信頼を失う、批判の矢面に立たされる、何かの存在そのものがなくなるほどの失敗を犯してしまったイメージが伝わります。×の「しくじる」では、ただ失敗を起こしてしまった、というような「失敗についての重み」が伝わらない表現で終わってしまいます。
意味:思いがけず、意図していなくて。偶然に
〇 期せずして、同じ研修に出ていました。
× たまたま、同じ研修に出ていました。
その時の感情まで伝えられるか
◯の表現ならば、「期せずして会った」後に、懐かしい気持ちが湧いてくるかもしれません。あるいは「期せずして会った」後、 昔の嫉妬心が呼び起こされるかもしれません。つまり、その状況に 加えて、相手と会った時に生まれた感情も表現できるのが「期せずして」です。一方、×の「たまたま」では「偶然に出会った」という事実しか伝えることができません。