伊藤園の「お~いお茶」は1989年の発売以来の大ヒット商品ですが、1984年の発売当初は「缶入り煎茶」というネーミングだったそうです。当時はあまり売れなかったのですが、5年後に現名称に変更したところ大ブレイク!
2019年までの30年間で累計310億本を突破するヒット商品になっています。お客様に「呼びかける」ようなネーミングが心に響いたのでしょう。
キャラクターやキャッチコピーも売上を後押し
ほかにも商品を差別化する方法はいろいろあります。「キャラクター」によって差別化するのもその1つ。
例えば、熊本県に行けば「くまモン」、滋賀県に行けば「ひこにゃん」など、ご当地ゆるキャラがパッケージに掲載された商品が数多く販売されています。これはキャラクターがもつパワーや認知度で商品を販売する戦略です。みなさんの街でも活用できる人気キャラクターがいるなら、ぜひ活用してみましょう。
企業や商品のキャラクターを生み出して活用することも重要です。「ガリガリ君」(赤城乳業)と聞けば、知らない人はいないといっていいほど、抜群の知名度を誇る氷菓です。こちらのパッケージには人気キャラクター「ガリガリ君」が大きく描かれています。
東ハトのスナック菓子には、「キャラメルコーン」「暴君ハバネロ」「ビーノ」など、それぞれのキャラクターがパッケージに大きく描かれています。
実はキャラクターには「アイキャッチを強める」という効果があります。人は人の顔に惹きつけられる傾向が強いので、キャラクターの目があるだけで、ほかの商品より目に留まりやすくなるのです。
もちろん、パッケージに著名人の写真やイラストなどを載せることも有効な手段ですが、中小企業には向きません。莫大なロイヤリティが発生するでしょうし、何よりその著名人の個性と、企業の考え方が合っているかがわからないからです。
次に、「キャッチコピー」による差別化も挙げられます。ネーミングだけでは伝えられない商品の特徴や、「お客様が得られる利益」を、少し長い文章で伝えることができます。
「やめられない、とまらない!」といえば、言わずと知れたカルビーの「かっぱえ
びせん」。パッケージにも記されているコピーで、みんながおいしく食べるシーンが
目に浮かびます。
サンスター文具の「アーム筆入」は、「象がふんでもこわれない」というキャッチコピーで一世を風靡し、大ヒットした商品です。ちなみにパッケージに入れていたこのキャッチコピーを、一時「象のマークは強さのしるし‼」に変更して販売した時期がありましたが、思うように売上が伸びず、2012年にふたたび「象がふんでもこわれない」に戻したところ、売上が回復していったそうです。
松浦 陽司
株式会社パッケージ松浦 代表取締役社長
※本連載では、世界でただ一人の“パッケージマーケッター”松浦 陽司氏の著書『売上がグングン伸びるパッケージ戦略 赤字商品が大ヒット商品に化ける!!』から一部を抜粋して、売れるパッケージの秘密について解説します。