通常、商品のパッケージは中身を連想させる色が採用される傾向にあります。チョコレートでいえば「茶色」などです。しかし、ロッテがチョコレートを販売する時点で、すでに森永製菓や明治製菓が茶色のパッケージの「ミルクチョコレート」を販売し、人気を博していました。
後発のロッテが同じ茶色のパッケージで発売しても、店頭でお客様の目に留まるのは難しい。そこで色による差別化を考え、真っ赤なパッケージを採用したそうです。
ネーミングを変えるだけで大ヒット!?
私たち消費者は、どのような順番で商品を覚えていくのでしょうか。
①商品名
②パッケージの形
③パッケージの色
答えは、③パッケージの色 → ②パッケージの形 → ①商品名といわれています。
例えば「カロリーメイト」(大塚製薬)という商品名よりも先に、「黄色い箱に入ったバランス栄養食」と覚えたりするものです。また、容器のシルエットを見ただけで、日本人のほぼすべてが「ヤクルト」(ヤクルト本社)と認識するのは、パッケージの形による差別化といえます。
では、パッケージの色や形にこだわればよいのかというと、もちろんそうなのですが、越えなければならない高いハードルがあります。
色については、無数の商品が世に出ているため、パッケージに使われていない色はない、と言っていいほどです。どんな色を選んでも、差別化はしにくい状況です。形については、変わった形だと組み立てや商品封入作業が困難な場合があります。また、金型の製作に莫大な費用がかかってしまい、中小企業にとっては大きな負担となります。
相模屋食料の人気製品に「ザクとうふ」という豆腐があり、その名のとおりパッケージが「機動戦士ガンダム」の「ザク」の形をしています。いったい金型代はいくらかかったのでしょうか。
色や形で差別化を図るのは、中小企業にとっては難しい。となれば、商品の個性を打ち出せる有効な手段は、商品名です。ところが、ネーミングに力を入れている中小企業はあまり多くないようです。「だんご」なら「だんご」「煎茶」なら「煎茶」と、ストレートに名づけるケースが多く見受けられます。それではあまりにももったいないと思います。ネーミングによって、伝わり方が劇的に変わる事例が多々あるのですから。