「薬機法」を無視し、あおり記事を作る制作会社
今回の事件で発端となったのが、「記事LP(ランディングページ)」を呼ばれるクリエイティブです。アフィリエイト広告を使って、第三者が紹介しているようなページを制作するのですが、これが大きな問題となりました。架空の誰かがオススメしているようなページを作りますので、「薬機法」を無視したオーバーな表現で商品を紹介するのです。
いわば広告主の隠れ蓑のようなものです。この「記事LP」で過激な表現をすればするほど、商品が注目され、売れるため、広告主は止められなくなるのです。恐らく、広告主の言いなりになっている広告代理店が制作会社に依頼し、制作させているのでしょう。関わっている会社すべてが、目先の売り上げと利益のためだけのために危険を冒しているのです。今回の事件を機に、このようなクリエイティブの仕事をメインに受けていた制作会社は淘汰されることでしょう。
大手メディアはこのような事件が起きる前から、「薬機法」に抵触している広告主に対しての広告審査を厳しくしていました。大手のメディアが広告審査を厳しくすればするほど、不誠実な広告主が出稿できるメディアが限られてきています。
ただ、大手メディア以外の中小メディアに関しては、目先の売り上げ、利益を上げたいために、「薬機法」に抵触していることを見て見ぬふりをして、広告審査を通し、出稿させていたとすると、その出稿させていたメディア側にも責任があるのではないかと思います。国内のメディアでは、「薬機法」に関する審査を厳しくしておりますが、外資系のメディアは広告審査が甘い傾向があります。事業主が海外にあるため、日本の「薬機法」の取り締まり対象になっているのかは疑わしいところではあります。
また大手メディアは広告審査を厳しくしているとはいえ、なぜこの広告主の広告が掲載されているのかと疑わしいケースもあります。「薬機法」に対しての広告審査に関しては徹底してもらいたいものです。明らかに巨額の広告費を投下している広告主に関しては、大手メディアにとってもインパクトが大きいので、見過ごしているのではないかと思われるケースもあります。
巨額の広告費を投入し、「薬機法」に抵触しそうな表現を展開している広告主で、タレントやスポーツ選手、著名人を広告塔として起用しているケースもよく目にします。しっかりと広告主のプロモーションの内容などを把握した上で、タレント側もオファーを受けているのか心配になります。安易に仕事を受けてしまうと、タレントとしてのブランドに傷がついてしまうのではないでしょうか。自分が広告塔になることで、法に触れた商品の広告宣伝に関わり、それによって騙されて商品を購入してします消費者がいるということを忘れないで欲しいものです。
商品のブランディングがこれまで以上に必要に
今回の事件は複数社から逮捕者が出て、両業界を騒然とさせました。これを機に、業界が健全化する流れが加速してもらいたいものです。ここ最近、私の会社にも、多くの美容・健康関連商品業界を得意とする同業(広告代理店・WEBマーケティング会社)からの営業が来ます。恐らく、「薬機法」の取り締まり強化の影響で、美容・健康関連商品業界に依存したビジネスモデルに危機感を感じているのではないでしょうか。
今回の事件を機に、今後さらに美容・健康関連商品業界に依存していた広告代理店、WEBマーケティング会社、制作会社は苦境に立たされると考えられます。また美容・健康関連商品業界の広告主も今までのやり方では商品を販売することができなくなるため、新たな正当なスタイルのプロモーション手法、販売手法を考えていく必要があります。商品の効果、効能をストレートに訴求することが難しいため、商品の「ブランディング」がこれまで以上に重要となると私は考えます。
後藤 晴伸
後藤ブランド 社長