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調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
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国内において新型コロナの感染が再拡大、既に第2波が進行中と考えるべきではないか。もっとも、4月を中心とする第1波と比べ重症者及び死者が少なく、現段階で政府が緊急事態を宣言する可能性は低い。それは、感染抑止と経済活動維持のバランスが重視されているからだろう。また、政治的に見ると、今秋における解散・総選挙の選択肢を確保する道でもある。

新型コロナ感染第2波:緊急事態宣言が見送られている理由

国内で確認された新型コロナの感染者は、4月は1日平均406.3人だったが、7月は567.6人、8月は5日までで1,288.2人になった。既に日本は感染第2波の真っ只中にあると考えるべきだろう。

 

ただし、政府には、今のところ新型インフルエンザ特措法に基づく緊急事態を再宣言する考えはないようだ。死者が1日平均13.3人に達していた4月に比べ、7月は1.2人に抑制された。重症者も今のところ少ないことから、経済活動維持とのバランスを考慮しての判断のようだ。

 

期間:2020年3月1日〜8月5日 出所:NHKの集計よりピクテ投信投資顧問が作成
[図表1]国内で確認された新型コロナの感染者数 期間:2020年3月1日〜8月5日
出所:NHKの集計よりピクテ投信投資顧問が作成

 

また、緊急事態を宣言しても、現行法では商業施設などに営業休止を命じることはできず、あくまで都道府県知事による休業要請に留まる。特措法第24条9項には、緊急事態下でなくても、知事が民間に営業自粛を要請できる規定が設けられており、政府としてはこの条項を活用すれば、実質的に緊急事態と同様の効果が得られると考えているのだろう。

政治の事情:解散オプションの確保

安倍政権が緊急事態を見送っている背景には、政治的な事情も見え隠れする。安倍晋三首相にとり、9月中に内閣改造及び自民党役員人事を行い、その直後に召集する臨時国会での冒頭解散は、有力な政治的選択肢と言えるだろう。ここで総選挙ができないと、自民党総裁としての任期が1年を切るなか、安倍首相はレームダック化しかねない。しかし、緊急事態が宣言される緊迫した状況において、総選挙を行い国民に信を問うのは困難だ。

 

従って、2020年度第2次補正予算の予備費を活用して医療機関を支援しつつ、都道府県知事による民間への休業要請で新型コロナの感染にブレーキを掛ける…これが当面の対応になるのではないか。

ポスト・コロナ:ビフォー・コロナとは異なる時代へ

東京都によれば、7月第5週、朝の通勤・通学ラッシュ時における都営地下鉄の乗車率は平時の64.0%だった(図表2)。4月第1週の31.0%からは大きく回復したものの、直近3週間連続で小幅に低下したのは、新型コロナの感染再拡大が背景ではないか。感染第2波は、仕事の進め方を迷っている企業に対し、リモートワークや時差出勤の拡大へ背中を押した可能性が強い。一度定着した流れは、新型コロナが収束しても完全には後戻りしない可能性が強い。
 

期間:2020年2月10日~7月30日(2020年1月第4週=100) 出所:東京都の集計よりピクテ投信投資顧問が作成
[図表2]通勤・通学ラッシュ時の都営地下鉄乗車率 期間:2020年2月10日~7月30日(2020年1月第4週=100)
出所:東京都の集計よりピクテ投信投資顧問が作成

 

ポスト・コロナは、ビフォー・コロナとは違った社会になることが考えられる。特に東京都心の一極集中は見直され、不動産、小売、飲食、運輸など多くの産業に多大な影響をもたらすのではないか。マーケットも、引き続きそうした変化を織り込む展開となることが予想される。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『感染第2波緊急事態宣言はあるか?』を参照)。

 

(2020年8月7日)

 

市川 眞一

ピクテ投信投資顧問株式会社 シニア・フェロー

 

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