投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>3月20日(木)開催・WEBセミナー

 

前回のDeep Insightレポート『米国株か?世界株か?』では、バブルの歴史を振り返りながら米国株に対する世界株の優位性について考察した。今回はバリュエーションや相関係数といった定量的な分析から、世界株の投資意義について検証する。結論から言えば、長期的な視点に立った世界株への分散投資は、定量的な観点からも正当化されるのではないかと考える。

 

注目のセミナー情報

【事業投資】3月22日(土)開催
年商5億円も夢ではない
なんと⁉店舗継続率、驚きの97.3%!
「買取大吉」のリユースビジネスの秘密とは

 

​​【税金】3月25日(火)開催
“国税OB不動産専門税理士が登壇“不動産投資セミナー
実物件を使ったシミュレーションで学ぶ賢い不動産投資術!

バリュエーション格差が拡大する米国株

PBR(株価純資産倍率)でみたMSCI米国株とMSCI世界株(除く米国株)のバリュエーション格差は2007年以降、拡大傾向にある(図表1)。米国株の場合、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの頭文字)といったROE(自己資本利益率)の高い大型成長株が米国株を牽引したこともあって、PBRは上昇傾向にある。一方、世界株(除く米国株)は、GAFAMのような大型成長株が不在だったこともあり、PBRにおける米国株に対するディスカウント率(世界株(除く米国株)PBR÷米国株PBR-1)は今年7月末時点で-58%と、すでに2000年のITバブル期のピークを超えており、米国株の割高感が高まっている。

 

また、MSCI米国株のMSCI世界株(除く米国株)に対する相対パフォーマンスは2010年から米国株優位の展開となっており、一極集中の傾向が長期化していることが分かる(図表2)。しかし、過去の歴史を振り返れば、特定の国・地域が継続して高いパフォーマンスを示すことはまれであり、いつまでこの傾向が続くかは定かではない。

 

月次、期間:1995年1月末~2020年7月末 上段:各指数のPBR推移、下段:世界株(除く米国株)PBR÷米国株PBR-1 出所:MSCI、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表1]PBRの比較(MSCI世界株(除く米国株)とMSCI米国株) 月次、期間:1995年1月末~2020年7月末
上段:各指数のPBR推移、下段:世界株(除く米国株)PBR÷米国株PBR-1
出所:MSCI、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成

 

月次、配当込み、米ドル建て、1979年12月末=100で指数化 期間:1979年12月末~2020年7月末  出所:MSCI、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成[図表2]MSCI世界株(除く米国株)指数÷MSCI米国株指数  月次、配当込み、米ドル建て、1979年12月末=100で指数化  期間:1979年12月末~2020年7月末  出所:MSCI、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表2]MSCI世界株(除く米国株)指数÷MSCI米国株指数月次、配当込み、米ドル建て、1979年12月末=100で指数化
期間:1979年12月末~2020年7月末
出所:MSCI、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成

世界株=米国株ではない理由

MSCI世界株指数における米国株の構成比率は今年7月末時点で66%だ。一見すると世界株では十分な分散効果が得られないようにも思われる。しかし、MSCI世界株指数と同米国株指数の相関係数の推移を見ると、直近こそ0.99と非常に高い相関を示すものの、相関係数は常に変化しており、過去必ずしも高い数値を示していたわけではなかった(図表3)。

 

むしろ、86年~96年当時はかなり相関が低かったといえる。これは、局面に応じて株価パフォーマンスや国別構成比率が大きく変化することなどが背景にある。国際分散投資が容易になったことで近年は相関係数が高く出やすいとの指摘もあるが、それでも2006年4月、2013年5月、2017年10月の前後では相関係数が低下しており、今後も相関係数が高止まる保証はどこにもない。好調が続く米国株に投資しつつ、割安な米国以外の国にも分散投資を行う世界株への投資は、理にかなっているのではないだろうか?

 

12ヶ月ローリング、月次リターン、配当込み、米ドル建て 期間:1979年12月末~2020年7月末 MSCI株価指数はNET TOTAL RETURN(USD)を使用  出所:MSCI、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表3]MSCI世界株指数とMSCI米国株指数の相関係数 12ヵ月ローリング、月次リターン、配当込み、米ドル建て
期間:1979年12月末~2020年7月末
MSCI株価指数はNET TOTAL RETURN(USD)を使用
出所:MSCI、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株か?世界株か? PART2』を参照)。

 

(2020年8月7日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【3/11開催】税負担も軽減!
富裕層だからできる 気軽な
「海外プチ移住」の進め方

 

【3/12開催】<地主の相続対策>
急な相続で困らないための
「資産見える化」のススメ

 

【3/12開催】認知症対策には
絶対的な効果!金融資産家の
ための「民事信託」を活用した
資産承継方法

 

【3/13開催】富裕層のための
ファミリーガバナンス
「資産防衛」「資産管理」戦略

 

【3/13開催】米国の巨大な
「中古住宅市場」で安定的なインカム収益を
追求!プライベート・アセット投資としての
「担保付き短期ブリッジローン」戦略とは

 

 

 

 

 

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録