本格的な「多死社会」となった日本。故人の遺産をめぐり、親族間で醜い争いになるケースが多発しています。「きょうだいと絶縁してしまった」「財産を手放す羽目になった」といった後悔をしないためにも、トラブル事例を見ていきましょう。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

配偶者・子どもがない人の相続の注意点

配偶者・子どもがなく、遺言がない場合の注意点としては、「相続人は兄弟姉妹となる(親が存命中は親が相続人となる)」「財産の大部分が不動産であれば、均等に分けるには売却するしか方法がない」といったことがあげられるでしょう。

 

 

また今回のケースでは、長男、次女、三女にはそれぞれ子どもがいます。きょうだい同士は円満だったとしても、万一きょうだいが先に亡くなって甥姪が代襲相続をすることになれば、状況はまた変化します。そのリスクをなくすためにも、遺言書は不可欠だといえます。

 

Y美さんとK子さんは、共有しているマンションの心配をしていましたが、長年の会社員生活を考えれば、ほかにも財産があることが想定されます。もし遺言書の記載が不動産だけだと、それ以外の預貯金や保険等といった財産について、分割協議が必要になります。その点を踏まえるなら、遺言のなかにすべての財産について指定しておくほうが、のちのちもめごとになりにくいといえるでしょう。

 

Y美さんとK子さんは、ほかの兄弟姉妹とも相談した結果、ふたりの間で、先に亡くなったほうの財産は、残されたほうがすべて引き継ぐという内容の公正証書遺言書を作成しました。

 

「ホッとしました」

「これで安心して、リタイア生活を楽しめそうです」

 

手続き完了後、ふたりは安堵の笑顔を浮かべながら筆者の事務所をあとにしました。これからも、仲良しの姉妹の楽しい毎日が続くであろうことを思い、筆者まで気持ちが明るくなりました。

 

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

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    本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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