本格的な「多死社会」となった日本。故人の遺産をめぐり、親族間で醜い争いになるケースが多発しています。「きょうだいと絶縁してしまった」「財産を手放す羽目になった」といった後悔をしないためにも、トラブル事例を見ていきましょう。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

 

遺言書の作成が完了したあと、S本さん夫婦は「おかげさまで、相続が発生しても、双方の弟妹に気を遣わなくてもよくなりました」と、ほっとした表情をされました。やはり、相手の弟妹と財産の話をすることは避けたいというのが本音でしょう。

遺言書があれば、きょうだいに資産状況を知られない

子どものない夫婦の場合、下記の点に注意が必要です。

 

 

●子どもがいない夫婦の相続人は、配偶者と親あるいはきょうだいとなる

●夫婦の力だけで築いた財産でも、遺言がないと配偶者が全部を相続できない

●夫婦の財産の内容を、きょうだいに明らかにしたうえで分与しなければならない

 

このような事態を避けるには、やはり「遺言書」の作成が不可欠なのです。そうすれば、きょうだいと話し合うことなく相続の手続きが可能になりますし、きょうだいに財産の内訳を知らせなくてすみます。上でも述べたとおり、きょうだいには遺留分の請求権がないため、感情的なトラブルに発展するリスクも下げられます。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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