負債総額「6000億ドル」米国史上最大規模のショック
■歪みを軽視した「リーマンショック」~突然の歪み
1929年の世界大恐慌に次ぐ世界的な経済危機といえば、2008年に発生したリーマンショックです。このリーマンショックの経緯を振り返る前に、まずパリバショックについて触れておきましょう。
サブプライムローンと呼ばれる、米国で貸し付けられていた住宅ローンがあり、これを証券化したものが世界中の投資家たちの手に渡っていました。このサブプライムローン関連の商品が、米国の経済が鈍化していくとともに信用性を失い始めます。多数の投資家たちが解約手放しを申し出るようになったのです。
そのようななかで、フランス大手銀行のBNPパリバが2007年8月9日、解約に対応するための現金化が困難になり、同行傘下にあるミューチュアルファンドの解約を凍結します。
サブプライムローン関連商品の買い手はつかなくなり、相場はいよいよ混乱を極めました。この歪みがパリバショックであり、一連のサブプライムローン問題の始まりです。
2008年9月15日、これらの影響を受けて、サブプライムローン関連商品を大量に保有していたリーマン・ブラザーズが破綻。負債総額は6000億ドルという米国史上最大規模で、連鎖的に世界を巻き込んだ金融危機へと発展します。これがリーマンショックです。
当時の日本は長引く不景気からサブプライムローン関連商品などにはあまり手を出しておらず、直接的な影響は当初軽微でした。しかしリーマンショックを機に世界的な景気の冷え込みが発生し、ドルが急速に下落、円高を招いたことで日本の多くの投資家に大打撃を与えることになります。
具体的な事例を挙げておくと、例えば為替デリバティブと呼ばれる金融商品があります。これは米ドルや豪ドルなどを対象とした、日本との金利差に着目した運用商品で、個人投資家が行うFX投資に近いものがありました。