実質GDP:2020年1~3月期(第2次速報・改定値)と4~6月期(第1次速報値)予測について

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

1~3月期実質GDPは微減。前期比年率は▲2.2%で第2次速報値から不変

 

1~3月期民間設備投資は法人企業統計確報受け前期比+1.7%。+1.9%から下振れ

 

1~3月期民間在庫変動は上方修正。前期比寄与度は▲0.1%で第2次速報値と同じ

 

4~6月期実質GDP成長率第1次速報値は前期比年率▲23.8%程度を予測

 

 

●20年1~3月期実質GDP成長率・第2次速報・改定値は前期比▲0.6%、前期比年率▲2.2%となり、第2次速報値の前期比▲0.6%、前期比年率▲2.2%と同じ伸び率であった。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞で2四半期連続のマイナス成長で、法人企業統計を受けて設備投資が下方修正、在庫投資が僅かに上方修正された。残差を除き、その他の系列は第2次速報値と変わらなかった。

 

●20年1~3月期名目GDP成長率・第2次速報値は前期比▲0.5%、前期比年率▲1.9%となり、第2次速報値の前期比▲0.5%、前期比年率▲1.9%と同じになった。名目GDPの季節調整値は546.9兆円である。

 

●1~3月期の実質設備投資・前期比は第1次速報値の▲0.5%から、新たに加わった需要サイドの法人企業統計のデータが弱かったため、第2次速報値では同+1.9%へと上方修正された。なお、第2次速報値では新回答率が低めの法人企業統計・速報値を基礎統計としたため、第2次速報・改定値では回答率が従来並みになった法人企業統計・確報値を使った。需要側統計値の名目原系列前期比は第2次速報・改定値では+32.6%と第2次速報値の+33.4%から0.8ポイントと僅かに下方修正されたという。なお、1~3月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は速報値では+41.7%であったが、確報値では+35.0%に下方修正されていた。

 

●1~3月期民間在庫変動は第2次速報・改定値で4,538億円と第2次速報値の2,179億円から僅かに上方修正されたが、実質・前期比寄与度は▲0.1%で第2次速報値と変わらなかった。第2次速報・改定値の民間在庫投資の内訳の4項目とも前期比寄与度は第2次速報値と同じであった。

 

●1~3月期第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.2%であったが、法人企業統計の発表を織り込んだ第2次速報値では同▲0.3%に下方修正された。第2次速報・改定値では▲0.2%に上方修正された。この内訳に関しては雰囲気しか教えてもらえないが、第1次速報値では、4項目でプラス寄与は原材料在庫だけで、残りはマイナス寄与。マイナス寄与が小さい順に、仕掛品在庫、製品在庫と流通品在庫が続くということだった。法人企業統計・速報のデータが加わった第2次速報値では変動があった。4項目でプラス寄与は仕掛品在庫だけで、残りはマイナス寄与ということだ。マイナス寄与が小さい順に、製品在庫、原材料在庫、流通品在庫となったようだ。今回。法人企業統計・速報のデータが加わった第2次速報・改定値では内訳の寄与の順番の変動などはなったということだ。

 

(4~6月期〔第1次速報値〕予測)

 

●4~6月期実質GDP成長率第1次速報値は前期比年率▲6.6%程度前期比年率▲23.8%程度を予測する。

 

●4~6月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は▲3.9%程度を予測する。新型コロナウイルス感染症の影響が出ると見た。内訳をみると、民間需要の寄与度が▲4.0%程度のマイナス寄与度に、公的需要の寄与は+0.1%程度のプラス寄与度と予測する。

 

 

●実質個人消費は前期比▲5.8%程度のマイナスを予測する。また、設備投資は前期比▲3.5%程度のマイナスになると予測した。

 

●実質政府最終消費支出は前期比+0.4%程度、また、公共投資は前期比+0.5%程度とどちらもプラスになると予測した。

 

●外需は、輸出が▲16.9%程度と前期比減少に、控除項目の輸入が前期比▲0.6%程度前期比減少になると予測した。外需の前期比寄与度は▲2.7%程度とマイナスになるとみた。

 

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4~6月期前期比は▲37.8%の大幅減少になった。同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同▲2.4%の減少だ。また、商業販売額指数・小売業の4~6月期・前期比は▲7.5%の減少になった。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の4~5月平均対1~3月平均比は▲7.7%の減少である。乗用車販売台数の4~6月期・前期比は▲23.6%の減少になった。GDP統計の実質個人消費(家計最終消費支出)と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)4~5月平均対1~3月平均比は▲9.3%とマイナスである。総合的に考えると、4~6月期第1次速報値の個人消費の前期比は総合的に判断すると前期比▲5.8%程度の減少になると予測する。

 

●設備投資の関連データである資本財(除.輸送機械)出荷指数の4~6月期前期比は▲8.4%の減少になった。また、建設財は同▲7.1%の減少になった。総合的に考えると、最終的に供給サイドから推計される4~6月期の実質設備投資は▲3.5%程度の減少と予測した。

 

●民間在庫投資(民間在庫変動)の前期比寄与度は▲0.1%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、4~6月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+6,514億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲7,215億円である。また、鉱工業在庫指数の前期比は、1~3月期は+2.3%だったが、4~6月期は▲5.3%になったことなどを考慮した。

 

●実質輸出入の動向をみると輸出の4~6月期・前期比は▲18.4%の大幅減少になった。控除項目の輸入は同+2.1%の増加になっている。これにサービスを考慮し、輸出の前期比▲16.9%、輸入は同▲0.6%と予測した。4~6月期の外需の前期比寄与度は▲2.7%程度になると予測する。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『実質GDP:2020年1~3月期(第2次速報・改定値)と4~6月期(第1次速報値)予測について』を参照)。

 

(2020年8月3日)

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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