コラム:人気金融商品の落とし穴1
■テーマ型ファンド「旬のもの詰め合わせ」
金融機関でよく勧められる金融商品の一つに「テーマ型ファンド」があります。私がこれまで渡り歩いてきた証券会社も、テーマ型ファンドを一推し金融商品として顧客に紹介していました。
テーマ型ファンドとは、ある特定のテーマに絞った投資を行うファンドのことです。1990年代後半のITバブル下では、インターネット関連銘柄に集中的に投資するファンドが数多く設定され、その後はバイオ、シルバー(介護)、資源など、その時代に世間が多く関心を寄せているテーマに則して投資するファンドが量産されました。
最近は、人工知能(AI)、仮想現実(VR)、IoT、5Gなどに関連するテーマ型ファンドが、銀行や郵便局をはじめ多くの金融機関で販売されています。詰まるところ、みんなが買いたくなる旬のものを詰め合わせてパッケージ販売しているようなものです。
世間が関心を寄せているということは、人気があるということ。人気があるということは、その企業の本質的な価値よりも株価が割高になっている可能性が高いということです。
ファンドが設定された当初は値上がりする傾向にありますが、ほどなくして息切れを起こし、世間からの注目が冷めていくとともに値下がりしていくのが恒例のパターンになります。
■低そうに見えて高いリスク
テーマ型ファンドは旬のもの詰め合わせであり、賞味期限付きの金融商品であると考えるべきでしょう。間違っても、最も熟している旬のピークに手を出してはいけません。
最高値でつかんでしまったら、あとは下がるばかりで1円の得にもならないのですから。人気のワードとともに紹介できるので、金融機関にとっては販売しやすい金融商品ですが、顧客は慎重になって購入を検討するべきです。
世間の注目が集まる前に買うのであればいいでしょう。トレンドに先乗りし、ピークが来たと思ったタイミングで売却すれば利益が見込めます。ただ、各金融機関がこぞって特定テーマのファンドを設立した頃には、すでにそのテーマは頂上に達していると見たほうがいいでしょう。
続きは月曜日(8/3)配信。
※本記事は書籍『株オタクの現役IFAが指南!本当に儲かる「株」講座』を抜粋したものです。
同連載
【有料】〈銘柄公開〉元証券マンが見極めた…将来有望株の「時価総額」
原田 茂行
IFA/自由が丘財産コンサルタンツ合同事務所代表/一般社団法人シニアウェルスライフ協会代表理事