コロナで「株価が10倍に成長するような銘柄」も
そういった意味では、企業業績が着実に積み上がった結果の現在の相場、現在の日経平均であると考えることができるでしょう。決して世の中全体が浮かれて舞い上がってつくられたものではなく、実体のある景況感です。とはいえ、下がる局面がいずれ訪れることは間違いありません。それを左右するのは政策金利です。日本銀行が金利引き上げを宣言した途端、株価の動きは急激に鈍化していくことが予想されます。
私見ではありますが、日本銀行が債券を買い続けている限り、この低金利の時代はまだまだ続いていくことでしょう。むしろ「日本で金利が上がる日など来るのだろうか」という疑問を持っているほどです。昭和バブルの土地神話のように、地価が上がることはもうないでしょう。しかし国の政策として世の経済をインフレに持っていこうとしている限り、株価はまだまだ上がっていくはずです。
いずれ割高感のある銘柄が増え、PERがおかしな数値に達する可能性もあります。そんな最中にもし新しい株価指標が登場したり、もしくは再びQレシオが脚光を浴びるような日が来たら……バブル崩壊の下げ相場に向けて、冬支度を始めるときかもしれません。
[追記]
コロナウイルスによる新型肺炎が世界で感染拡大を起こし、日本でも全国に緊急事態宣言を発令、非常に緊迫した状況となっています。まさかこのようなタイミングで本を出すことになるとは、出版を決意した当時には思いも寄りませんでした。本書が皆さまの目に触れる頃には、果たしてどのような世の中になっているのか。コロナショックにより大恐慌に陥るのか。早期に収束し再び上昇相場に戻るのか。これを書いている時点の私には知る由もありません。
しかし、投資を日々行う身として大切なことは、いかなる局面にあっても、今後どのようになるかを予想しつつ、未来のストーリーを頭に描き、投資に反映させていく姿勢を崩さないことだと思います。
このたびの新型肺炎を考えるうえでは、過去に起こったパンデミックを検証することが必要でしょう。100年前に起こったスペイン風邪、1957年のアジア風邪、1968年の香港風邪、そして2009年の豚インフルエンザなどが、代表的なパンデミックとなります。
いずれも新型インフルエンザですが、感染力は今回のコロナウイルスによる肺炎と同等と、これを書いている時点では考えられています。これら過去の似た事例を参考にし投資に活かすことで、パンデミック騒ぎに混乱する相場にも、強い心と確かな投資技術を持ってのぞむことができるのです。通常感染爆発は3カ月くらいでおさまります。1年続くわけではないのです。ですからもし株式相場が大きく下げたりしたならば、強気に買いに行く準備もするべきでしょう。
ただし過去のパンデミックの例では第2波、第3波と感染の波が到来していたので見極めが必要です。
今回のコロナウイルスによるパンデミックにより、我々の社会は大きく変革します。テレワーク、オンライン学習、遠隔診断など、デジタル化が一気に加速することでしょう。それらの関連で大きく化ける銘柄も出てきています。株価が10倍に成長するような銘柄を発掘するチャンスといえるでしょう。
このように株式投資は、今後何が起こるのか、過去の産業や経済の動きを参考にしながら、そして自身の生活圏をよく観察しながら、常にアンテナを張り巡らし考えて行動するべきです。
限られた情報と限られた分野のなかで投資をするとどこかに隙ができてしまい、思わぬところで足元をすくわれてしまいます。これは私が実際に体験してきたうえで導き出した結論です。