年間約130万人が亡くなる日本社会。故人の遺産をめぐり、親族間で醜い争いになるケースが多発しています。相続が発生してから「家族と絶縁する羽目になった…」「税金をごっそり取られた…」と後悔してしまわないためにも、トラブル事例を見ていきましょう。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説していきます。

測量・鑑定評価の結果、相続税の減額に成功

●土地の評価を徹底的に下げた

 

近隣は大規模な開発で山が切り開かれて、大きなニュータウンがいくつも広がっている地域ですが、Y山家の自宅は調整区域にあるため、ほとんど昔のままで、自宅の裏は広大な山林が広がっています。道路も狭く、車1台が通るのがやっとという幅しかありません。

 

 

ところが普通の計算では、自宅周辺だけで3億円以上の評価になってしまいます。簡単に開発できない調整区域の自宅の宅地部分が約2億円なのです。検討した結果、測量をして鑑定評価をするしかないという結論になりました。

 

また、無道路地の土地があり、建築許可は取れそうにありません。その土地の評価も鑑定により、5分の1としました。3ヵ所の土地の鑑定評価により、相続税は約半分に減額ができています。

 

●貸し地の売却

 

相続財産のなかには納税に足りる現金はないこと、また、貸し地は所有するメリットが少ないため、納税用にすることを提案しました。

 

とりあえずは物納申請をしましたが、申告前より売却することを提案したところ、一括して相続税評価で不動産会社に買い取ってもらえることになりました。結果、現金納付することができました。

 

●延納の返済原資を作る

 

納税は土地の売却で6割方済ませる目途がつきましたが、残りは延納としましたので、翌年より返済が始まります。

 

そこで、空き地2ヵ所につき、有効利用の提案をしました。1ヵ所は調整区域で建物が建たないところですが、大型トラックの駐車場として借り手があり、もう1ヵ所は3階建ての賃貸マンションを建てることにしました。

 

この有効利用の実行により、Y山さんの父親の節税対策ができ、同時に延納の返済原資となる収入を確保することができます。

真摯な姿勢に見た、「旧家を守る」責任の重さ

Y山さんは毎回、新幹線を使って相談に来られました。孫の立場ながら亡くなった祖父の養子になっており、祖父からはたびたび「家を継承してもらいたいので、頼む」といわれていたとのことです。

 

「祖父の気持ちを十分理解しているので、自分の代で家を没落させるわけにはいかないのです」と、真摯な姿勢でありながら、はっきりと意思を持って行動しておられる姿に、何代も続く家を継承していくことの責任の重さを感じました。

 

大地主の本家といわれる立場で生を受けることは、一見安楽なようにも思われますが、現実問題として、承継した資産の維持は並大抵ではありません。だからこそ、祖父は長男の配偶者と孫を養子縁組し、公正証書遺言を作成したわけです。その内容は、配偶者がありながらも、二次相続での分散を避けるため、一切の財産は長男と孫に、というある意味シビアなものでした。

 

途中、ほかの相続人とギクシャクする場面もなかったわけではありませんが、農家の運営が決して楽ではないこと、家を継ぐということがいかに大変であるかをよくご理解くださり、遺言書に記載のあった代償金を支払うことで納得していただくことができました。

 

さらに、土地の評価で節税が実現しただけでなく、タイミングよく貸し地の買い手も見つかったこと、そしてこちらのストーリーどおりに話が進んだことで、相談者のY山さんには安堵していただくとともに、大変喜んでいただけました。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

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    本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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