ビジネスで海外の人々と関わる際、自国の歴史の知識は必須だといえます。しかし、日本人が注意しなくてはならないのが「外国人に関心の高い日本史のテーマは、日本人が好むそれとは大きく異なる」という点です。本連載は、株式会社グローバルダイナミクス代表取締役社長の山中俊之氏の著書『世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ』(朝日新聞出版)から一部を抜粋し、著者の外交官時代の経験をもとに、外国人の興味を引くエピソードを解説します。

 

柳亭種彦(りゅうていたねひこ)の『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』は、全部で38編ありますが、江戸ではそれぞれが約1万部売れたといわれます(『江戸の教育力』)。江戸にはたくさんの読者がいたことになります。

 

江戸には、貸本屋が600以上もあったといわれます。また、京、大坂をはじめ各都市にも多数の貸本屋がありました。本を借りて貪り読んでいる人がたくさんいたのです。

 

封建制の時代は当然表現の自由は保障されていません。幕府を批判するようなものは当然ながら御法度。しかし、江戸時代より前の歴史物の出版には大きな制限はなかったといいます。また、物語・漢籍・仏典などは一般庶民の教養の向上に大きく役立ったようです。江戸時代は、「書物の時代」だったのです(田尻祐一郎著『江戸の思想史』)。

 

海外の人に話すと、少し自慢話に聞えてしまうかもしれませんが、封建時代の日本人が本好きであったという点はおもしろがって聞いてもらえる話題です。

 

 

山中 俊之

株式会社グローバルダイナミクス 代表取締役社長

 

世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ

世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ

山中 俊之

朝日新聞出版

ビジネスで海外の人々と関わるのであれば、自国の歴史の知識は必須だ。しかし外国人に関心の高い日本史のテーマは、日本人が好むそれとは大きく異なる。本書は海外経験豊富な元外交官の著者が外国人の興味を引くエピソードを解…

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