「父母に連帯保証を頼んだら…」親子破綻という壮絶
支援してもらったお金の使い道も変化しており、家計経済研究所が行った調査によると、1998年には「生活費」が大半を占めていましたが、10年後の2008年には「住宅ローン返済」が最多となっています。この状況には非常に大きなリスクがあります。
親が健在なうちはよいのですが、病気をしたり介護が必要になったりした場合には、支援が途切れるかもしれません。そうなれば親からの援助に頼って成り立っていた住宅ローン返済は簡単に行き詰まってしまいます。
また、親からの支援を受けている人の中には、親に連帯保証を頼む人が少なくありません。子どもが返済不能に陥ると親に返済義務がのしかかります。子どもの家が競売にかけられ、残った債務を支払うため、親が住んでいる家まで競売にかけられてしまうというケースが増えています。子ども世帯が自立してない状況で家を購入すると、親子ともども住まいを失いかねないのです。
◆「十年一昔」で大幅に減っていく所得
一昔前には正社員として就職し、結婚しマイホームを購入することがごく平均的な幸福とされていました。ところが収入が右肩下がりで減少する現在は、いずれもが一種の「ぜいたく」とすらいわれるようになっています。
サラリーマンの年収は2001年の505万円をピークに減少し続けてきました。近年はアベノミクスの影響で下げ止まった感がありますが、それでも2020年の平均年収は約430万円と、ピーク時に比べて約2割も低い金額です。
それに伴い生涯賃金も大幅に減っています。2000年には大卒男子の生涯賃金は2億7900万円ありましたが、2013年には2億5420万円と2480万円も落ち込んでいます。「十年一昔」といいますが、13年で2500万円近くも減っており、平均的な住宅購入コストの半分以上を失ったと考えることもできます。その分、住宅購入の難易度は高まっており、減収を意識せずに住まいを購入すると、容易にローン破綻にいたってしまいます。
◆退職後の年金生活ではローンが重荷になる
住宅ローンの返済期間は、基本的に最長35年となっています。40歳で住まいを購入した人は75歳になるまでローンを支払い続ける必要があるのです。一方、ある程度高い給与収入があった人も、ローンの支払いを終える年齢まで高収入を保つことは非常に困難です。