認知症の親をつきっきりで介護、離職を余儀なくされ…
所有権や連帯保証など複雑な問題が絡むため、本来は夫婦が協力し合って解決する必要がありますが、離婚した夫婦が同じ方向を向いて解決を図ることは簡単ではありません。離婚にいたる過程でしばしば感情的なもつれが生じるため、冷静な判断ができず有効な対策をとれないケースが少なくないのです。
◆増える介護が住宅ローンの支払いを圧迫する
社会の高齢化が急速に進む中、近年増加しているのが介護を理由とする住宅ローン破綻です。厚生労働省発表の資料を見ると、2015年4月末時点での要支援・要介護者の数は600万人あまりとなっています。2001年には約288万人だったので、わずか14年の間に2倍以上に増加したことになります。
介護される人の状態にもよりますが、重度の認知症などの場合には24時間、365日まったく目を離すことができません。肉体的にも精神的にも負担が大きいため、仕事をしながらの介護が難しく、親や配偶者を介護するために仕事を辞めざるを得ないというケースが急増しています。
安倍政権では「介護離職ゼロ」を掲げていますが、逆にいえばそれほど介護離職の問題は深刻化しているのです。
厚生労働省の雇用動向調査によると、介護・看護を理由に離職した人が2017には約9万人にのぼっています。介護のために仕事を辞めれば収入が途絶え住宅ローンの返済は困難になります。共働きの世帯で妻(あるいは夫)が介護者になるという場合でも、収入が減ってしまうため同様です。
さらに、リストラと同様、一度職を離れると介護生活が終わった後の復職が難しいという問題もあります。老親を介護している場合、介護中は親の年金収入があるためどうにか生活費を賄うこともできますが、老親が亡くなり介護生活が終わると、多くの人は再就職できず無収入になってしまいます。住宅ローンの支払いなどはとうていできず、返済に行き詰まることとなるのです。
◆「親のお金頼り」で破綻するサラリーマンたち
少子高齢化が進む中、増加しているのが「成人した子ども世帯に対する親からの支援」です。親世代からすると、子どもが少ないためお金をかけることができます。また高齢でも親が元気なので、子ども世帯も経済的に頼ることが可能であり、暮らしの中で足りないお金を親に出してもらうというケースが増えているのです。