どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、東京メトロ日比谷線と都営地下鉄浅草線「人形町」。

好アクセスで生活環境も抜群、ネックはやはり家賃水準

駅周辺の家賃水準をみていきましょう。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は9.14万円(図表1)。同条件の東京都中央区の家賃水準は、駅10分圏内で11.04万円。「人形町」駅周辺は、中央区の平均よりもリーズナブルな家賃水準のエリアです。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(6月29日時点) ※単位は万円
[図表1]「人形町」駅周辺の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(6月29日時点)
※単位は万円

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円です(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」 ※10名以上の企業対象 ※数値は所定内給与額 ※単位は万円
[図表2]20代後半、30代前半の平均月給 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」
※10名以上の企業対象
※数値は所定内給与額
※単位は万円

 

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「人形町」駅周辺は、一般の会社員の適正家賃を大きく超えるエリアです。単身者向け物件は豊富ですが、やはり家賃は高め。大手ポータルサイトで検索すると、駅チカ10分圏内、30代会社員の適正家賃内で、いずれも築30〜40年ほどの築古物件ですが、数軒の単身者向け物件が見つかります。築年数にこだわらなければ、適正家賃内の物件が見つかる可能性があります。

 

交通面を見ていきましょう。東京メトロ日比谷線で「秋葉原」や「銀座」「日比谷」「六本木」、都営地下鉄浅草線で「日本橋」「新橋」「品川」(京急本線直通)にダイレクトにアクセスできます。また東京メトロ半蔵門線「水天宮」駅、都営地下鉄「浜町」駅も徒歩10分圏内。半蔵門線利用で「大手町」「永田町」「表参道」、新宿線利用で「市ヶ谷」「新宿」にも乗り換えなしでアクセスできます。複数路線の利用で移動の幅が広いのも、この街の大きな魅力です。

 

買い物環境はどうでしょうか。駅周辺には「マルエツ プチ」「まいばすけっと」「ピーコック」と、小規模ながらスーパーが点在。大手ドラッグストアチェーンも複数あるので、最寄り品の購入で困ることはないでしょう。

 

また老舗や全国的に知られた有名店が多い「人形町」界隈ですが、オフィス街ということもあり、ファストフードやファミレス、牛丼店、定食店といったお馴染みの飲食チェーン店も豊富。庶民派の人気店も多いので、外食がメインの人でも困ることはありません。

 

正真正銘の下町である「人形町」。吉原があった場所だったり、男色専門の陰間茶屋が軒を連ねたりと、興味深い歴史を持つ街は、現在は人情味あふれる雰囲気と、都会暮らしの利便性が両立することで人気を集めています。やはりネックになるのは家賃の高さ。都心に隣接する立地から、会社員の水準を大きく上回ります。しかし選択肢はかなり限られますが、適正家賃内の物件が見つかることも。あらゆる利便性の高さは都内でも随一。物件へのこだわりを捨ててでも住むだけの価値はある街といえるでしょう。

 

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