米国株式市場第2波リスクと大統領選挙の注目点

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米国では南部や西部の州を中心に、新型コロナウイルスの新規感染者数が増加傾向にある。特にテキサス州、アリゾナ州、フロリダ州では顕著に感染が拡大しており、「第2波」のリスクが高まっている。米国は今年11月3日に大統領選挙を控えているため、「激戦州」における新型コロナウイルス感染と失業率の状況は大統領選挙の結果を大きく左右しかねない。

人種差別問題と新型コロナ感染拡大、高失業率がトランプ氏再選のリスク要因に

米国は歴史的に共和党寄りの州(レッド・ステート)と民主党寄りの州(ブルー・ステート)、そして支持率が拮抗する州(スイング・ステート)があり、これまでの大統領選挙ではスイング・ステートと呼ばれる激戦州でいかに票を獲得できるかが勝敗の分かれ目になった。2016年大統領選挙では、大方の予想に反してトランプ氏が激戦州のフロリダ州やオハイオ州、ミシガン州などで勝利を収め、第45代目のアメリカ合衆国大統領になった。

 

今年の大統領選挙は、新型コロナウイルスの感染状況と失業率がポイントになるだろう。「ジョージ・フロイド事件」をきっかけにトランプ氏の支持率が低下傾向にあるなか、フロリダ州やオハイオ州、ネバダ州といった激戦州では、新型コロナウイルスの新規感染者が増加傾向にある。すでにフロリダ州では民主党の大統領候補であるバイデン氏がトランプ氏を支持率でリードしているほか、「オハイオ州を制した者が全米を制する」といわれるオハイオ州でも支持率が拮抗した状態となっており、「第2波」リスクがトランプ氏再選を危うくしている。

 

紫:感染者増加、グレー:感染者横ばい、緑:感染者減少、赤枠:激戦州、2020年6月25日時点  出所:The COVID Tracking Project、米労働統計局、The National Archives and Records Administration(NARA)よりピクテ投信投資顧問作成
[図表1]新型コロナウイルス新規感染者状況(州別) 紫:感染者増加、グレー:感染者横ばい、緑:感染者減少、赤枠:激戦州、2020年6月25日時点
出所:The COVID Tracking Project、米労働統計局、The National Archives and Records Administration(NARA)よりピクテ投信投資顧問作成

 

また、失業率(2020年5月)でも前述したフロリダ州(14.5%)やオハイオ州(13.7%)は米国全体(13.3%)を上回っており、なかでも前回の大統領選挙でトランプ氏が僅差で勝利したミシガン州(21.2%)は突出して高くなっている。ミシガン州の支持率調査では、やはりバイデン氏がトランプ氏を大きくリードしており、経済面でもトランプ氏に逆風が吹いている。さらに、激戦州のなかでもフロリダ州、オハイオ州、ミシガン州は選挙人の数が比較的多く、大票田でトランプ氏の支持率が低下していることも特筆に値するだろう。

 

紫:失業率が米国全体(13.3%)を上回る州、グレー:失業率が米国全体を下回る州、赤枠:激戦州  出所:The COVID Tracking Project、米労働統計局、The National Archives and Records Administration(NARA)よりピクテ投信投資顧問作成
[図表2]2020年5月失業率(州別) 紫:失業率が米国全体(13.3%)を上回る州、グレー:失業率が米国全体を下回る州、赤枠:激戦州
出所:The COVID Tracking Project、米労働統計局、The National Archives and Records Administration(NARA)よりピクテ投信投資顧問作成

共和党寄りの州でも支持率に変化が…

トランプ氏の再選をさらに危うくするのが、レッドステートにおける地殻変動だ。これまで共和党寄りだったアリゾナ州ではバイデン氏がトランプ氏をリードする現象が起きており、大票田のテキサス州でもバイデン氏とトランプ氏が僅差で争っている。就任後の増税が警戒されるバイデン氏の支持率上昇は、米国株式市場の逆風になりかねないため注意が必要だ。

 

赤枠:激戦州、赤:注目州、数字は選挙人の数を示す  出所:The COVID Tracking Project、米労働統計局、The National Archives and Records Administration(NARA)よりピクテ投信投資顧問作成
[図表3]2020年大統領選挙の注目州 赤枠:激戦州、赤:注目州、数字は選挙人の数を示す
出所:The COVID Tracking Project、米労働統計局、The National Archives and Records Administration(NARA)よりピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株式市場第2波リスクと大統領選挙の注目点』を参照)。

 

(2020年6月26日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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