日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、遺言書にまつわる、あるきょうだいの間で起きたトラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

解説:遺言書の内容を変えることはできるのか?

事例では、遺言書に納得のいかない叔母と叔父が、遺言書の無効を迫っているシーンがありました。

 

そもそも遺産の分け方は実にシンプルで、遺言書がある場合には遺言書の通りに遺産を分け、遺言書がない場合には、法定相続人全員による話し合いで遺産の分け方を決めていきます。この話し合いのことを遺産分割協議といいますが、参加できるのは法律で決められた法定相続人という立場を持った人だけです。

 

いくら生前中に仲が良くても、法定相続人でない人は1円たりとも相続することができません。また法定相続人が全員揃っていないのに、勝手に進めた遺産分割協議は無効となります。

 

では遺言書があれば、絶対、その通りに分けなければならない、というとそうではありません。遺言書は法的に非常に強い効力をもっていますが、相続人全員が同意をした場合には、その内容を変更することが可能です。ただし事例のように、遺言書に寄付すると書かれていれば、当該受遺者の同意も必要となります。

 

相続人全員が同意をすれば(寄付の場合は当該受遺者の同意もあれば)変更できるということは、1人でも「私は遺言書の通りに遺産をわけたい!」という人がいた場合には、遺言書の通りに遺産を分けなければならない、ということになります。

 

ちなみに、遺言書を残される人が「家族全員が反対しても、絶対この形で分けてほしい」という場合には、あらかじめ遺言執行者を決めておき、その遺言執行者に「家族からどんなに反対されても、絶対にこの形で分けてくれ」と強くお願いをしておけば、相続人全員が反対しても遺言書の内容通りに遺産分けが行われます。

 

 

※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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