遺言書の内容に驚愕!無効を訴え、右往左往
子どものいないE子の葬儀は、A子さんの母であるB子さんが喪主を務めました。そのとき、式に参列してくれた施設のスタッフから、遺言書の存在を聞きました。その遺言書が、トラブルの火種になりました。
そこに書かれていたのは、「遺産のすべてを寄付する」という内容で、どこにいくら寄付するのか、細かく指定されていたといいます。その総額は1億円を超えていました。そしてその内容に驚愕したのが、C子さんとDさん。
「なんで! あんなに良くしてあげたのに、なんという仕打ち!」
「全額寄付なんて嘘だろ! 1円も遺さないなんて薄情者!」
遺言書を開封した際には、きょうだい以外にも人はいましたが、C子さんとDさんはそんなこと構うことなく、大きな声でわめき散らしました。そして寄付先のひとつである、E子さんが入居していた介護施設に乗り込みました。
「『お前らが妹にけしかけたんだろ!』などと因縁をつけたみたいですよ。施設の方も寝耳に水だったようで、驚いたでしょうね……」
実は、そのような遺言書を書くことを勧めたのは、A子さんの母でした。
「2人の様子をみていて、もしE子さんの相続が発生したら、多かれ少なかれ揉めるだろうから、きょうだいにお金を遺してくれるな、自分が納得する遺し方をしなさいと」
そんな事情を知らず、2人はAさんの母に遺言書は無効だと同意するようにと迫りましたが、Aさんの母は首を縦にふることはありませんでした。