病床の父が「うちには大金がある」と突然の告白
「弟がまさかあんなことをするとは……」
先日起きたばかりのできごとを振り返り、そう呟いたAさん。2人兄弟の長男であり、弟は2歳年下です。小さいころは近所でも評判な仲良し兄弟でした。
「人見知りで、よく私の後ろに隠れているような奴だったんですけどね」
そんな2人の関係に変化が生じたのは、父が病に倒れ、余命宣告を受けたときだったといいます。Aさんの父は、いわゆる普通の会社員。それまでお酒もタバコもギャンブルもやらず、平凡を地で行くような人でした。
そんな父が病床で「相続について話をしておきたい」と言いました。
「話を聞いたときには『はぁ!?』と思いましたよ。相続なんて、金持ちだけの話かと思っていたんで」
かれこれ十数年前、祖父が亡くなり相続が発生したときのこと。遺産は不動産(=実家)と現金がありましたが、実家に住んでいた伯父家族がそのまま家を継ぐことになり、現金のほとんどを父が手にすることになったというのです。その額は……なんと8,000万円。すでに母は亡くなっていたので、相続人は兄弟2人。時期が来たら兄弟で二等分するようにと、父は伝えたのです。
「そんな大金を持っていたなんてな」
病室を出た兄弟は、突然の父の告白に驚きながらも、どこか興奮をおさえきれない様子でした。不謹慎かもしれませんが、父が長くないことは確実。相続が発生すれば、兄弟で二等分、4,000万円を手にできるというのですから仕方がないかもしれません。
「私も、突然大金の話をされて舞い上がっていました。あのとき、もう少し弟の様子に気を止めていたら、こんなことは起きなかったかもしれません」
そのときは、父の相続が発生したときに起きました。