「商いは飽きない」の意味を知っているか
事業を経営していたら、誰でも課題に突き当たることがあるでしょう。でも「儲かっている社長」は、いちいちヘコんだり、グチを言ったりしません。トラブルも「今のやり方を見直すチャンス」や「新しい提案を考える機会」などと考え、前向きに解消していきます。
「商いは飽きない」という言葉があります。
この言葉を「商売は何があっても細々と長く続ける」→「するといつかはチャンスが降ってくる」という意味で解釈している人が少なくありません。そして、何年も何年も同じことを繰り返している。
そんな「儲かっていない社長」は、遅かれ早かれ消えていきます。
私は「商いは飽きない」というのは「飽きない」ために、課題が見つかったらチャンスと捉えて変化する――そうして微調整を繰り返しながら挑戦を続けていくことが、「商い」の意味だと考えています。
先日、ソフトバンクグループ株式会社の会長、孫正義氏は、決算の内容が創業以来最悪の7000億円の赤字だと発表しました。
しかし孫会長は、決して悪びれず「ボロボロの大赤字でございます」と言い、失敗を潔く認めています。
私は、このような素直さと、失敗に萎縮せず「今回の損失を活かして、目標達成のために今後もやり切る」覚悟と実行力が、儲かっている社長に欠かせない資質だと考えます。
もちろん、体力を半分以上消耗したら撤退する勇気も必要です。
しかし、孫会長にはまだまだ体力と勝算があるのでしょう。
また「商いは飽きない」という言葉には、もう一つ大事な意味が込められています。それは「お客さんを飽きさせない」ということです。
「売り上げが上がらない」と悩む「儲かっていない社長」は、このことを忘れています。
私は「お客さんを飽きさせない」というのは、「お客さんの求めているものを提供する」ことだと考えています。
お金を儲けて「商人」として成功するためには、自分たちの都合を押し付けるのではなく、お客さんが望むものを提供しなければならないのです。
江戸時代から明治にかけて活躍した「近江商人」の経営哲学に、「三方よし」があります。「三方よし」とは、売り手によし、買い手によし、そして世間にもよしということであり、「自らの利益の追求ばかりせず、お客さんや社会の幸せまで考えて商売せよ」ということです。
近江国は、現在の滋賀県であり、近江国の国内に本店を置き、他国に行商した人たちが近江商人と呼ばれています。私は「越前商人」がルーツの福井県出身ですが、日本全国、多くの企業の経営理念の根幹となる「三方よし」の精神を自分でも取り入れています。「お客さんのため」、そして「三方よし」を頭に置いて、課題の解決にあたると、トラブルは次なる発展のきっかけとなります。
しかし「お客さんが望むもの」という商いの基本を忘れてしまうと、困難を乗り越えてもまた次の困難がやってきます。
「何をやってもうまくいかない」社長は、このことをもう一度、思い出してみてほしいの
です。