日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、伯母と甥の間で起こった相続トラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

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祖母から聞いていた遺産は5,000万円だったが…

1年前、祖母が病に倒れ、入院することになりました。祖母は当時、70代になったばかり。大したことはないと思っていましたが、余命半年、と宣告されてしまいました。そしてAさんは祖母から相続の話をされたのです。

 

「おばあちゃん、先が見えてきたから、きちんと伝えておくね。この通帳に、5,000万円ほどあるの。おばあちゃんの全財産。Aは、お父さんの代わりに相続する権利があるの。おばあちゃんが死んだら、おばさんと3人で3等分して。そのお金で、Aはお母さんを少しでもラクさせてあげなさい」

 

その後、祖母は他界。Aさんは伯母2人と、遺産相続の話し合いに臨むことになったのです。そしてAさんは衝撃の事実を知ることになります。

 

伯母①「Aくんも、お父さんに代わって、相続する権利があるの」

 

Aさん「はい、母から聞いています」

 

伯母②「それで、お祖母ちゃんの遺産というのが、この預金通帳に入っている現金になって……」

 

そこで見せられた祖母の通帳には、3,000万円ほどの預金が。

 

Aさん「あれ!?」

 

伯母①「どうしたの?」

 

Aさん「お祖母ちゃんからは、預金通帳には5,000万円が入っていると聞いていて、実際に通帳も見せてくれました」

 

伯母②「うーん、でもここには3,000万円しかないし。そのあと、使ったんじゃない、お祖母ちゃん」

 

Aさん「入院していたお祖母ちゃんが、2,000万円もお金を使うなんて、考えられますか?」

 

伯母①「でも、ないんだから、どうしようもないじゃない!」

 

伯母②「そうよ。とにかくここに判を押して!」

 

早く判子を押して!
早く判子を押して!

 

2人の伯母はAさんの言葉に逆切れ気味にこたえ、あらかじめ用意してあった遺産分割協議書に判を押せと迫ってきました。そんな勝手な対応に、Aさんも声を荒げました。

 

Aさん「おかしいですよね! どこかに2,000万円、消えてしまったんですよ。そんな曖昧な状態で、判なんて押せません。事件ですよ、事件。警察に相談しないと」

 

伯母①「警察なんて、、、いいから判を押してよ」

 

伯母②「警察なんて来たら、一大事よ、ねえ」

 

Aさんが反発するなんて思ってもいなかったのでしょう。急に伯母たちはトーンダウン。下手になりながら、なんとかAさんに判を押させようとしたといいます。

 

「どうせ、あの二人が使ってしまったんでしょうね。そして僕を騙せると思ったんですよ。正直にいえば考えますけど、知らないふりして判を押すことなんてできません」

 

Aさんはいま、銀行に連絡し、取引明細表を発行してもらおうとしています。

 

調べれば、わかるんだから!
調べれば、わかるんだから!

 

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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