日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、伯母と甥の間で起こった相続トラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

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2人の伯母への憤り…そのワケは?

「子どもだと思って、舐めているんですよ、あの人たちは」

 

そう話すAさんは、21歳の大学生。憤慨している相手は、2人の伯母。遺産相続の話し合いの場を振り返ると、怒りが込み上げてくると言います。

 

時計の針を巻き戻しましょう。教師だった父母の間に生まれたAさんは、一人っ子だったこともあり、厳しくも大切に育てられてきました。父は理科の教師だったこともあり、よく家でできる簡単な実験を見せてくれたそうです。

 

「水が一瞬で氷になったり、家のなかで蜃気楼を作ったり…本当に面白い父でした」

 

しかし、Aさんと父との思い出は、小学校5年生のときに途絶えます。父が若くしてがんに侵されたのです。まだ若かったこともあり、進行は早く、気づいたときには手遅れの状態でした。

 

父の死後、「母子家庭だからと、不自由をさせたくない」「立派だった父のような大人になってほしい」と奮闘する母の姿が目に焼き付いているとAさん。父の母であるAさんの祖母も色々とサポートしてくれたそうです。

 

「比較的近くに住んでいた祖母が、夕食の準備に来てくれたり、掃除をしてくれたり……仕事で忙しい母を色々と助けてくれていました。祖父は僕が生まれるずいぶん前に亡くなっていて、母子家庭の大変さを祖母自身もわかっていたから、余計に親身になってくれたんでしょうね」

 

こうして、Aさんは毎日学業に励み、第一志望の大学に合格。奨学金をもらい、バイトもしながら、充実した大学生活を送っています。

 

「振り返ると、僕は人に恵まれてきた、という自負があるんですけど……2人の伯母だけは昔から好きになれなくて。どこかずれているんですよね」

 

Aさんいわく、2人の伯母は、とにかくお金にうるさく、ケチなんだとか。

 

――お祝いは「しょぼい」とか言いながら受け取るけど、絶対にお返しはしない

――家に来ては「これ、もらっていい?」と、食べ物などを持って帰る

――(少額だけど)お金の無心をしてくる。「返して」というと、いつも「ちょっと待って」

 

父が亡くなってからは、以前ほど会う機会は減ったというものの、親戚一同が集まるお盆やお正月には、やはり、このようなケチケチ行為を目にしたそうです。

 

「甥の僕に、直接なにか、ということは、さすがにありませんでした。でも突然、遺産相続、という話になって」

 

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    ※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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