2人の伯母への憤り…そのワケは?
「子どもだと思って、舐めているんですよ、あの人たちは」
そう話すAさんは、21歳の大学生。憤慨している相手は、2人の伯母。遺産相続の話し合いの場を振り返ると、怒りが込み上げてくると言います。
時計の針を巻き戻しましょう。教師だった父母の間に生まれたAさんは、一人っ子だったこともあり、厳しくも大切に育てられてきました。父は理科の教師だったこともあり、よく家でできる簡単な実験を見せてくれたそうです。
「水が一瞬で氷になったり、家のなかで蜃気楼を作ったり…本当に面白い父でした」
しかし、Aさんと父との思い出は、小学校5年生のときに途絶えます。父が若くしてがんに侵されたのです。まだ若かったこともあり、進行は早く、気づいたときには手遅れの状態でした。
父の死後、「母子家庭だからと、不自由をさせたくない」「立派だった父のような大人になってほしい」と奮闘する母の姿が目に焼き付いているとAさん。父の母であるAさんの祖母も色々とサポートしてくれたそうです。
「比較的近くに住んでいた祖母が、夕食の準備に来てくれたり、掃除をしてくれたり……仕事で忙しい母を色々と助けてくれていました。祖父は僕が生まれるずいぶん前に亡くなっていて、母子家庭の大変さを祖母自身もわかっていたから、余計に親身になってくれたんでしょうね」
こうして、Aさんは毎日学業に励み、第一志望の大学に合格。奨学金をもらい、バイトもしながら、充実した大学生活を送っています。
「振り返ると、僕は人に恵まれてきた、という自負があるんですけど……2人の伯母だけは昔から好きになれなくて。どこかずれているんですよね」
Aさんいわく、2人の伯母は、とにかくお金にうるさく、ケチなんだとか。
――お祝いは「しょぼい」とか言いながら受け取るけど、絶対にお返しはしない
――家に来ては「これ、もらっていい?」と、食べ物などを持って帰る
――(少額だけど)お金の無心をしてくる。「返して」というと、いつも「ちょっと待って」
父が亡くなってからは、以前ほど会う機会は減ったというものの、親戚一同が集まるお盆やお正月には、やはり、このようなケチケチ行為を目にしたそうです。
「甥の僕に、直接なにか、ということは、さすがにありませんでした。でも突然、遺産相続、という話になって」