2DKを1LDKに改修し、満室に…人気の秘密は「台所」
H山ハイツ(仮称)。結論からいいますと、改修前の入居率が60%だったのに対して、リノベーション後は100%にアップしました。1976年築の賃貸マンションで、改修の段階で築40年近くを迎えていました。
そして間取りは3つの空間からなる2DKを思い切って1LDKに。ここでポイントとなるのが、以前の記事『「女性ウケ抜群の内装なのに…」空室に悩む大家を救う一策とは』でご説明しましたが、玄関に入ってもすぐにキッチンが見えないようにすること。
わずかでもいいので廊下(緩衝スペース)を設けてから、LDKに入る間取りです。トイレの場所も移動し、キッチンは対面型のオープンタイプに変更しています。
【リノベ後の写真を見る】からもわかるように、ビフォーの間取り図では、トイレの扉がダイニング側に開いています。実はこれも女性から敬遠される間取りの一つですので、改善する必要がありました。この事例では、改善の結果トイレが洗面室の中にあるのですが、本来は、トイレと洗面室は別々の場所にあることが望ましいです。
しかしそれ以上に水回り関係は離すことなく、近くの位置にまとめたいという事情があります。なぜかというと、排水管の「詰まり」です。もともと水回りのあった場所から離してしまうと、既存の排水管まで新たに排水管をつなぐ際に、限られた床下空間を使うので、勾配が緩くなってしまいます。
すなわち、排水の際の流れが悪くなり、詰まりの原因となってしまいます。原理原則は守りつつ、大切なコトに優先順位を付けながらプランニングするのがプロの責任です。
施工業者にあまり無理な要望を出すと、リスクは高まります。施工業者も相見積もりになるケースが多いので、こちらのむずかしい要望でも、場合によっては無理してでも応えようとするかもしれません。「建物は生まれ変わりました。でも排水は詰まってきます」ではプロの仕事ではありません。論外です。何事にも優先順位があるのです。
配管(パイプシャフト)がそもそも古い場合は、丸ごと更新するタイミングで、このリノベーションを行えば、何度も床や壁を壊すことがないので、一度のリノベーションでさまざまな問題点を解消できます。
また、室内のベース色は広く見える白を基調に、フローリングに少々ナチュラル系のラスティック柄を採用しました。分散していた収納(押し入れ)を一箇所に集約し、使い勝手のいいクローゼットに改めています。汚れが目立っていた白の外装もベース色をシックなグレーに変更、塗り替えました。
小山 友宏
株式会社アークマネージメント 代表取締役