赤字経営の大家…苦心の末、渾身の愚策「200万円で内装一新」

賃貸物件をほったらかしにしておくと、どんどん競争力が落ち、経営が傾いていきます。かといって大家の自己判断のみでリフォームを繰り返しても、費用ばかりかかって肝心の入居率は改善しないということも珍しくありません。重要なのは、適切な時期を見極め、適切なお金だけをかけるということです。※本記事は、幻冬舎MC『入居希望者殺到の人気物件に化ける 築古マンション超復活メソッド』より一部を抜粋・編集したものです。

「内装と設備を一挙リフォーム」で節約&集客力アップ

いまや、賃貸経営は「ただ所有している」だけでは成功しない時代です。入居率が顕著に低い物件の多くが持っている特徴は以下の4点です。

 

①入居者が求める住宅設備を備えていない

②ワンルームか、ファミリータイプか? 時代の変化を先読みしていない

③非効率的なリフォームを繰り返している

④管理会社がきちんと仕事をしていない

 

前回の記事『「内見ゼロ」空室だらけの築古物件…経営の大復活は可能か?』では、①②について解説しました。本記事では、③④について見ていきます。

 

③非効率的なリフォームを繰り返している

 

築古マンションをよみがえらせるには最低限の条件があります。修繕もメンテナンスもまったくせずにほったらかしの物件というのは、どんどん競争力が落ち、次々と空室が出てくるのです。

 

また、「大規模リフォームをしても入居者が集まらなかったら、資金が回収できない」という不安から、150万~200万円程度の部分的なリフォームで済ませてしまおうというオーナーもいますが、それは大きな間違いです。大規模リフォームの定義もあいまいではありますが、リフォームを中途半端にちょこちょこやるのが、いちばん無駄だということを心得てください。

 

内装と設備を含めてミニマムで300万~500万円程度をかけて、10年に一度の大規模修繕とセットで、一回で終わらせてください。長い目で見て空室対策と同時に大きなコスト対策にもなります。

 

たとえば、150万~200万円かけて内装を一新したとしましょう。床も張り替え見た目もきれいです。しかし、その後すぐに配管の取り換え工事の時期を迎えれば、床を剥ぐのでまた内装のリフォーム費用が必要になります。

 

また、浴室が古いタイプのタイルなどでできている場合、防水の問題もあるので、このタイミングでユニットバスへの交換を行ってください。さらに、人気の「追い炊き機能」を付ける配管工事を一緒に行うチャンスでもあります。

 

一度の工事で内装の一新と配管の取り換えも行ってしまうことが最も効率がいいのです。ただ、こうしたことをオーナーに判断させるのはあまりに酷です。そこで必要なのが、信頼できる経験豊富な管理会社です。長期の修繕プランに加えて、リフォーム会社への施工内容の指示までしっかり行ってもらいます。

 

管理会社という第三者のプロの目が入ることで、無駄なリフォームをしなくて済むのです。仮に「350万~500万円も今はかけられる余裕がない」という場合も、管理会社としっかり調整することで、無駄を最低限にする100万円単位のリフォームを模索することができるでしょう。重要なのは、オーナー一人の判断でリフォーム会社に直接相談するのは避けるべきということです。世の中そんなに甘くありません。

 

ここでリフォーム会社の話を少ししてみたいと思います。きちんとした仕事をする管理会社を見てみると一目瞭然なのが、どの会社も丁寧な仕事を誇る建築会社やリフォーム会社と連携していることです。または、管理会社自体に補修工事ができる会社だということです。建物は保守点検や小まめな補修、メンテナンスで寿命に大きな差が出ることを知っていますから、施工面を安く抑えて利益を上げたいとは考えません。

 

それに対し、オーナーが直接頼んで失敗するケースで見られるリフォーム会社の中には、極端な話をすれば現場経験がない職人さんを雇っていたり、安い資材を使って精度の悪い工事をしたりする会社もあるのです。

 

なぜこのようなことが起きるのかといいますと、リフォーム会社には特に認可制度などの資格は不要で、安い会社を探そうとするといくらでも出てきてしまう状態なのです。今日では簡単に法人化ができますし、10年以上前から“資本金1円”で会社を設立できるようになっています。安い人件費で経験の少ない職人を雇い、メーカーが安値をつけた設備や部品、収納家具、建具などを寄せ集めて造り上げるリフォームでは、期待するほうが無理というものです。これは、会社組織でも同じことです。

 

何よりも問題なのは、そうしたリフォーム会社は提案力や施工能力がなく、協力業者にまかせきっているため、いわれたことだけをおざなりにやるだけで、空室対策になっていないことです。また、提案されたとしても内容がいい加減な事例は、本当によく聞きます。

 

リフォームはかきねは低いですが、本当に奥が深いのです。経験と能力が絶対に必要になってきます。たとえ営業担当が非常に感じのよい人でも、現場がしっかりしていなければうまくまわりません。職人がいなくても同様です。こうした意識を体現するため、筆者の会社では下請けという呼び方はせず、協力業者という表現をしています。

 

管理会社という第三者のプロの目が入ることで、無駄なリフォームをしなくて
管理会社という第三者のプロを挟めば、無駄なリフォームを回避できる

有能な管理会社は、「建築コンサルタント」として動く

④管理会社がきちんと仕事をしていない

 

一般的な地域にある地元の管理会社というと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。町の中にあるお店で、日焼けしたマイソク(物件情報の紙)が店頭に張られていて、おじさんたちが皆でしゃべっている。オーナーも昔なじみの人がいっぱい付いていて、黙っていても管理費が入ってくるから、特に営業活動もしていない…こんな感じでしょうか。全部がこうした管理会社とはいいませんが、皆さんの地元にも一つや二つこうした管理会社が何社か思い浮かぶはずです。

 

そんな管理会社にあなたの財産を預けても大丈夫なのですか? といいたくなります。オーナーのためにどれだけ動けるか。これを考える管理会社と手を結ぶべきだと考えます。

 

入退去の手続きと家賃の集金くらいしかやらないような管理会社では、いまはよくてもいずれ入居率が行き詰まるのが目に見えています。建物が古くなるとそういう時期が来るし、修繕費の収支が合わなくなるでしょう。ここで管理会社とは何か、というお話をしましょう。

 

昔からある会社だと、入居者の募集をして、退去者が出るとその手続きと部屋のクリーニングやクロス張り替えなどの原状復帰ぐらいしかしていない会社も見受けられます。入居者募集についても積極的ではなく、空室が出ても自分たちの責任ではないからと、動こうとはしません。

 

筆者が考える管理会社とは、いうならばかかりつけの町医者のようなものです。大病院のように大掛かりな精密検査や大手術ばかりを行うのではなく、患者さんの毎日の食事など生活スタイルや体調の変化に気を配って、少しでも悪くなりそうな箇所が見つかったらすぐに処置してあげる。賃貸住宅の管理とは、未来を見据えて建物の維持管理を行うことです。

 

賃貸経営にとって修繕は避けて通れないものですが、きちんとした修繕計画を立てることは重要な責務といえます。その際、本当にオーナーのことを考える管理会社なら、賃貸物件は60年のスパンで改修計画を立ててくれるはずです。

 

老朽化して躯体がもたないという状態になると問題ですが、それ以外では築年数なりの対応をしていけばまず大丈夫です。いいかえると、賃貸物件は長期のスパンで改修計画を立てるというのが鉄則なのです。

 

施工技術のレベルというのも大きなポイントになります。施工会社の施工のよし悪しが建物の寿命を決めるといってもいいからです。安定経営を約束する管理会社は、そうした点にまで気を配ってくれる会社です。

 

もっといいますと、設計プランについて第三者の目でチェックしたり、工程会議への出席、収支の計算、さらに従来設計事務所がやっていた設計管理まですべて行う、「建築コンサルタント」として動ける管理会社が必要です。大切な資産は、ここまで徹底して考えてくれるパートナーでなければ、守っていくことはできません。

 

ちなみに、賃貸マンションの改修の場合、10年に一度、1,000万円クラスの大きなコストをかける必要があるのはご存じでしょうか。60年維持管理する前提の建物の場合、単純計算で6回必要となります。でも、建物の状態がそれほど悪くなっていないケースでは、来年が10年目だけど、管理会社が大丈夫と判断して再来年(2年後)の改修予定に変更してあげる。できれば3年後の改修まで、小まめなメンテナンスにより引き延ばしてあげることも賃貸経営の観点からすると有効です。

 

すなわち、10年ごとの改修を12年に一度とすれば、6回の大規模改修が、5回で済むわけです。さらに、場合によっては15年に一度に延長できれば、4回で済みます。提案力のある管理会社を選ぶことで、1,000万円以上の費用が浮くことになります。こうした費用を、空室対策などに効果的に利用することで、賃貸経営にとってたいへんよい循環が生まれるのです。

 

[図表]管理で変わる修繕コスト

 

こうしたことも考えながら修繕計画を立て、オーナーの負担を減らしていく提案も管理会社には求められるのです。その一方で、適正な時期に適正なお金をかけてメンテナンスや修理をしてもらうというのも、管理会社の大切な使命だと考えています。建物を管理している会社だからこそ、建物の健康状態をいちばんわかっているからです。

 

しかしながら、こうした当たり前のことを実践していない管理会社が多すぎることも事実なのです。

 

小山 友宏

株式会社アークマネージメント 代表取締役

 

株式会社アークマネージメント 代表取締役

通称「マンション再生請負人」。
東京都出身。大学卒業後、建築設計事務所・不動産会社である株式会社仁幸に入社。
営業から雑務まで業務全般を経験し、7年後に専務、さらに5年後には代表取締役社長に昇格。
2012年に株式会社アークマネージメントを設立。
経営者として、入居者付けや広告の打ち方などの管理改革と独自の修繕スキーム「リノアーク」を軸とする、収益物件の空室対策に力を入れる方針を打ち出した。
地元・板橋区を拠点に数多くの物件オーナーに対するコンサルティングを行い、老朽化して空室だらけになった数々のアパート・マンションを満室物件へとよみがえらせている。

著者紹介

連載入居希望者殺到!築古マンション「超復活」メソッド

入居希望者殺到の人気物件に化ける 築古マンション超復活メソッド

入居希望者殺到の人気物件に化ける 築古マンション超復活メソッド

小山友宏

幻冬舎メディアコンサルティング

「築古だから空室が出る」「しかしどうすればいいのかわからない」 多くの物件オーナーがそう思っているはず……。 そんな悩みに救いの手を差し伸べるのがこの一冊。 利用者層のマーケティングから付加価値の設定、管理会社…

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