日本は中国に倣えるか?コロナ拡大「第2波」防ぐ、驚きの政策

コロナ感染拡大により緊急事態宣言が延長されたものの、東京都の感染者数は連日減少し、多くの地方で規制緩和の動きも始まった。町を歩いたら、数週間前より人通りが増えたことを実感する人も多いことだろう。一方で、「第2波」を懸念する声も高まっている。一足早く収束傾向にある中国では、どのような対策が講じられているのだろうか? 医療ガバナンス研究所の医療通訳士・趙天辰氏が語る。 ※「医師×お金」の総特集。GGO For Doctorはコチラ

新型コロナ感染拡大「第2波を防ぐための政策」は

中国で発生した新型コロナウイルスは、5ヵ月以上経った現在でも全世界で猛威を振るっている。そんななか、中国の新規感染者数は、2月13日の15,152人を境に徐々に減少している。

 

ゴールデンウィーク中、万里の長城や故宮でにぎわう中国人観光客の姿は、自粛中の日本人からすれば、衝撃的な光景だったに違いない。「こんなに外出して本当に大丈夫なのだろうか」と思ったことだろう。そこで本記事では、中国が第2波を防ぐために実施している「4大施策」をまとめた。

 

1.輸入感染症例を厳格に抑える

 

中国の新型コロナの封じ込みは、4月20日以降の新規感染者数が毎日35名以下というデータを見る限り成功している。中国では第2波の原因となりうる「逆輸入感染」を防ぐことを重視している。

 

中国は3月28日より、外国国籍所有者の中国への入国を一律禁止した。中国ビザを所持している人や、居留許可がある人でさえ、28日以降の入国は禁止されたのだ(ただし、外交、公務、礼遇、C(乗務員)の査証を有する者、永住権所有者の入国は影響を受けない)。

 

中国国籍保有者のみが帰国できるなか、入国手続きも厳しくなっている。健康証明申告カード(直近2週間の行動歴、接触歴など)の記入、面接(健康状態の確認など)、検温、入国審査、行先振り分けなど、すべて厳密に手続きをこなしていく必要がある。具体的には、「健康碼」というアプリを使って、個人情報や直近2週間の行動歴などの情報が入ったQRコードを提出する(この「健康碼」については、3で詳しく説明する)。

 

また、4月初旬より、帰国者全員に対し空港でPCR検査を実施することも義務付けられた。

 

PCR検査を受けても、妊婦や高齢者などの特殊な事情を除き、帰国直後は自宅に戻れず、14日間の集中隔離観察が強制的に行われる。集中観察所は各市区が手配しているホテルで、滞在費用は自己負担だ(約300元:5000円/日)。空港で受けたPCR検査は、検査後6時間以内にネットで結果を照会できるため、全員集中観察所で結果を知ることになる。

 

観察所では専門の医療従事者が配置され、定期的に健康モニタリングを行う。自主希望で受けられるPCR検査のほか、1日2回の検温も義務付けられている。集中隔離中に発熱などで健康状態が悪化すれば、救急車で指定の病院に行く。さらに、北京のような「管理最厳格都市」においては、14日間の集中隔離観察後、さらに7日間の自宅待機が義務付けされている。また先日、陸路国境でロシアからの帰国者の発症が相次いで確認された黒龍江省では、現在集中隔離観察期間を35日間と長く置いている。

 

2.大規模検査

 

中国は現在、新型コロナウイルスによって中断されていた仕事が徐々に再開されている。そんななか、湖北省と広東省では、企業は仕事復帰した職員全員に対しPCR検査が義務づけている。

 

また、上海市では、個人や企業が希望すれば誰でもPCR検査を受けることができる。病院、専門家、そしてCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が協力して大規模に検査を行うことで、いち早く感染者を発見、診察、隔離でき、クラスターの予防につながると考えられているからだ。

 

検査費用は地域によって多少異なるものの、自費診療の場合、北京では平均250元(約4,000円弱)ほどで、46ヵ所の病院で検査できる。武漢市では平均180元(約3,000円弱)ほどで、53ヵ所の病院で検査が可能となる。

緑・黄・赤の3種類のQRコードで危険状態を管理

3.現在地追跡アプリ

 

新型コロナウイルス感染者を追跡するため、中国ではアリババ・グループ中心にして「健康碼」というアプリケーションを開発した。このアプリは毎日体温などの健康状態を自動的にチェックし、結果によって緑・黄・赤の3種類のQRコードを生成する。

 

緑は「異常なし」を示し、学校や職場、買い物に行くことができる。黄色は「要注意」を表し、7日間の自宅隔離が必要となる。赤は「危険」状態。地区が定める方式で14日間集中隔離する必要がある。国民は全員、買い物や病院など外出する際にこの「健康碼」を使う必要があり、緑の状態でないと施設利用を断られる仕組みとなっている。

 

 

QRコードの色はリアルタイムで更新され、利用施設でのコードスキャンによって利用者の位置情報を把握することができる。たとえば新型コロナウイルス感染者がその施設にいた場合、同日該当施設にいたほかの利用者のQRコードも自動的に黄色に変わる仕組みになっている。

 

4.段階的な施設開放

 

中国では公共施設の段階的な再開を始めている。もちろん。一気に開放しているわけではない。いまだ多くの都市では、映画館、劇場、居酒屋やナイトクラブなどの屋内施設の再開を禁じており、人の密集を避けるようにしている。

 

屋外施設については都市によって対応が異なる。新型コロナウイルスの伝播は屋内でおきやすく、屋外は比較的安全と考えられているため、屋外施設の再開が先行している。

 

たとえば広州市では4月30日に動物園が再開したが、入園するためにはオンライン予約、健康登記、実名での入園、体温検査と、もちろん上記の「健康碼」も必要で、かなり厳密な措置を実施されている。また、北京にある有名観光地も、大型連休の混雑を避けるため人数制限を設けている(長城:最大客数の30%、故宮:5000人/日)。

 

このような施策が奏功したのだろうか、中国での3人以上への新型コロナウイルス伝播事例はほとんどが室内で生じていて、屋外感染は1件のみといった論文が4月初旬に発表された。

 

以上の4つの政策を中心に、中国では第2波対策を講じながら、経済活動の再開を目指している。日本でも、ゴールデンウィークが明けた今、新規感染者数は日に日に減少している。緊急事態宣言の解除も控えており、第2波対策は必要不可欠だ。

 

日本では、このような中国に関する記事は少ないため、日中両言語を操る筆者が今後も有意義な情報を発信していき、これからの生活の参考にできたらと考えている。
 

 

趙 天辰

医療ガバナンス研究所 医療通訳士

 

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医療ガバナンス研究所 医療通訳士

東京外国語大学卒。日本語、中国語、英語、ウルドゥー語、スペイン語を話せる。医療通訳士として活動している。また、国際的な医療問題に取り組み、医療分野の国境をなくしたいと考えている。

著者紹介

医療と社会の間に生じる諸問題をガバナンスという視点から研究し、その成果を社会に発信していく特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」による学会。「官でない公」を体現する次世代の研究者の育成を目的とし、全国の医療従事者が会員として名を連ねている。

著者紹介

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