どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、総武線「津田沼」駅。

大型商業施設間で“戦争”となった「津田沼」

「津田沼」は、千葉県県習志野市にあるJR総武線(快速線、緩行線)の駅です。JR駅北口から350mほどで新京成線「新津田沼」駅、南口から1kmほどで京成本線「京成津田沼」駅、1.2kmほどで同線「谷津」駅と、近隣に複数の駅が点在しています。1日の乗車人数は10万人強。東葉高速鉄道が開通する前は、13万人ほどの乗車客数を誇っていましたが、近年は目立った増減のない状況が続いています。

 

JR総武線
JR総武線

 

「津田沼」という地名は、1889年(明治22年)、5ヵ村が合併しての津田沼村が誕生した際、村の中心となる旧村の「谷津」の津、「久々田」の田、「鷺沼」の沼の三字をとって決まりました。そして1954年、習志野市が誕生した際、久々田地区を指す地名となったのです。

 

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もともとはそれほど商業の集積などみられない駅でしたが、1970〜80年代には大型商業施設間の熾烈な競争が行われました。初めて大手スーパーが進出したのは1976年。「長崎屋津田沼店」が開店すると、 1977年にはパルコと西友がテナントとして入る「西武津田沼ショッピングセンター」と「イトーヨーカドー津田沼店」、1978年には「丸井津田沼店」「ダイエー」「津田沼高島屋」が核テナントとして入る「サンペデック」が開業。当時の大手流通が勢揃いした様相を、マスメディアは「津田沼戦争」と報じたそうです。

 

撤退、閉店など紆余曲折を経ましたが、現在も「津田沼」周辺は千葉県有数の繁華街を形成しています。駅ナカには惣菜店を中心とした商業施設「ペリエ津田沼」、北口には「津田沼パルコ」「ミーナ津田沼」「イオンモール津田沼」「イトーヨーカドー津田沼店」と、狭いエリアに複数の大型商業施設が林立。南口は再開発によって北口よりもスッキリした街並みが広がり、「モリシア津田沼」「Loharu津田沼」「奏の杜フォルテ」と大型商業施設が点在しています。

 

一方で、南口すぐに「千葉工業大学津田沼キャンパス」があり、学生が多く集う文教地区という側面も。学習塾業界を舞台としNHKでドラマ化された小説『みかづき』では、津田沼で展開される学習塾同士の熾烈な抗争が描かれています。

 

そんな津田沼のある千葉県北西部の湾岸地域、いわゆる葛南地域には、ライバルとなる街が多くあります。総武線で東京方面へ向かうこと5分ほどで「船橋」、葛南地域と隣接する千葉市の中心「千葉」も総武線で10分ほどです。

 

同じ沿線ではありませんが、車利用で20分ほどの京葉線「海浜幕張」にはアウトレットモールやショッピングモールがあり、同線「南船橋」には「ららぽーと」や「IKEA」があります。内陸に位置する街は再開発に限界がありますが、沿岸部の街にはさらなる開発の余地があります。

 

毎年恒例の『住みたい街ランキング』では、「津田沼」は安定した地位を保っています(2018年28位、2019年39位、2020年35位)。今後、近隣の街とともに魅力を向上させていくのか、それとも埋没していくのか、注目です。

 

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