どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、東京メトロ東西線「神楽坂」駅。

外国人人気上昇…路地裏めぐりが楽しい街

「神楽坂」は、東京都新宿区にある東京メトロ東西線の駅です。1日の乗降客数は4万人強。都営地下鉄大江戸線「牛込神楽坂」駅へは徒歩7分、東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅へは徒歩12分、東西線の隣駅でJRなど4路線が接続する「飯田橋」へは徒歩11分と、徒歩圏内に複数の駅のある、都区内でも便利なエリアです。

 

神楽坂の地名の由来は、その名の通り、神楽にまつわる諸説が伝えられていますが、さだかではありません。そのなかでも江戸時代の地誌『江戸名所図会』の「穴八幡の祭礼に、この坂の中腹の御旅所にて神楽を奉するより名付く」という一節がよく知られています。


いずれにしても、江戸市中の数ある坂の中で、神楽囃子の鉦(かね)や太鼓に笛の音がよく聞こえていたことに由来しています。上記の地誌によると、早稲田通り(神楽坂通り)にある高田穴八幡の旅所で、祭礼の際、神輿が通るときに神楽を奏したからとも、「若宮八幡の社」の神楽の音がこの坂まで聞こえたからとも…。

 

また、『改撰江戸志』(原本は残っておらず成立年代は不明だが、文政以前から存在が確認されている)には、津久戸明神が元和のころに牛込の地に移転した際、神輿が重くてこの坂を上ることができなかったものの、神楽を奏すると容易に上ることが出来たため、このときより「神楽坂」の名が付いた、と記されています。

 

もともと、神楽坂一帯は芸者屋や遊女屋が集まる花街として隆盛を誇っていました。関東大震災後の一時は、日本橋などで被災した商人が流入し、非常ににぎわったそうです。その繁栄ぶりは「山の手銀座」と称されるほどでしたが、数年経つと、にぎわいの中心は新宿へと移っていきました。

 

 

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神楽坂の中心となるのは早稲田通り(神楽坂通り)。早稲田通りと外堀通りとの交差点の「坂下」~大久保通りとの交差点の「坂上」には「神楽坂通り商店会」、「坂上」~「神楽坂」駅周辺には「神楽坂商店街」と、2つの商店街があります。2000年初頭までは通りから外れた住宅街に多くの老舗が点在していましたが、近年はチェーン店やコンビニエンスストアなどの進出が目立ち、昔ながらの風情は失われつつあるといわれています。しかし新しくカフェやレストラン、雑貨店などがオープンし、石畳みの路地がいまだに残るところも。閑静な住宅街のなかに日本の古き良き情緒が残る街として、昨今は外国人からの支持も集めています。

 

また神楽坂で外せないのが、フランス料理。近隣にアンスティチュ・フランセ東京(旧・東京日仏学院)などのフランス関係機関があることから、神楽坂は古くからフランス料理店の多い街として知られていました。昨今はリーズナブルなビストロも増え、気軽にフレンチが楽しめる街として、さらに人気を集めています。

 

東西線
東西線

 

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